装者達のクリスマスパーティー2020
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ツェルトが指さした皿には、それぞれにんにくソース、ガーリックソース、和風醤油ソースの3種類で味付けされ、まだホクホクと湯気を立てている豚肉のステーキであった。
「これが……ツェルト義兄さんのトンテキ……!」
「やったデース!食べ放題なのデース!」
「切ちゃん、独り占めはしちゃダメだよ?」
「わ、分かってるのデース。マリアやセレナの分も残しておくのデース!」
「3人とも、私に遠慮なんかしなくてもいいのよ?」
「とか言いつつ、本当はマリアも食べたいんだろ?」
「そっ、それは……」
ツェルトの一言に、マリアは思わず肩を跳ねさせる。
「マリアの方こそ、遠慮しちゃダメデスよ」
「ツェルトの料理、誰より楽しみにしてるのはマリアでしょ?」
「わたしは、マリア姉さんと一緒に食べたいな……」
「みんな……」
可愛い妹、そして妹分達に見つめられるマリア。
遠慮なんてしていられない。長女の我慢など、クリスマスの前には不要なのだ。
「そうね……。こんなに沢山あるんだもの。私が我慢する事なんかないわッ!!」
「おう!どんどん食べてくれよな!……そういや、素直じゃないのがもう1人……」
マリアが素直になった所で、ツェルトがチラッと食堂の隅を振り返る。
その人物はツェルトと目が合った瞬間、慌てて顔を逸らした。
「セレナ。あそこのツンデレドクターを頼めるか?」
「もう、仕方ない人なんですから」
そう言ってセレナは、聖夜でも白衣とサングラスを外さない主治医の元へと向かっていった。
「アドルフ先生」
「セレナか……何の用だ?」
「先生も一緒に食べましょう」
「こういうのは若いのだけで楽しむべきだろう。俺は旨い酒が飲めればそれでいい」
「そんな事言って、わたし達の方を見てたのは分かってるんですよ?」
「保護者として、庇護対象を監督するのは当然だと思うがね」
「もう、相変わらずなんですから……」
ドクター・アドルフのツンデレは筋金入りだ。
しかもいい歳した大人の男なので、押して引くやり方でも効果が薄く、中々素直になってくれないのだ。
となれば、方法は一つだけ。
アドルフが紙コップを傾けたタイミングを見計らい、セレナは白衣の袖を掴むと上目遣いで彼を見つめた。
「ダディ……一緒じゃダメですか……?」
「ぶふぅっ!?」
口にしたウーロン茶を吹き出すアドルフ。周囲の視線が一斉に彼へと集中する。
セレナは誰が見ても可愛い、と口にせずには居られない程の美少女だ。
そんな美少女が上目遣いで、服の袖を引っ張りながらのお願い。しかも「ダディ」呼びである。
流石のアドルフも、これを受け流す事は出来なかった。
「先生、大丈夫ですか!?」
「ゲホッゲホッ…
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