第三話 小さな決意と大きな一歩その十三
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自分からだ。こう言ったのだった。
「そしてそれをです」
「あっ、ギプスの中に入れれば」
「はい、それで骨折が治るかも知れません」
「そうだね。それじゃあね」
「勿論ギプスが取れるのは少し先ですが」
このことは仕方なかった。どうしてもだった。
だがそれでもだ。真人は言ったのである。
「それでも骨折はです」
「それは治るね」
「はい、治ります」
また言う真人だった。
「ギプスを外す時に。レントゲンを撮りますから」
「その時に骨折が治っていれば」
「だからお願いします」
「うん、じゃあ水用意してくるから」
こうしてだ。希望は真人からガラスのコップを一つ借りた。
そこに病院の手洗い場の水道で水を入れてだ。そこに薬を指で取って入れた。薬は水の中に瞬く間に溶けてだ。水は薬の奇麗な緑色の液になった。
そしてその液を真人のところに持って行ってだ。それをだ。
ギプスの間から入れた。するとだ。
真人はだ。笑顔になりだ。こう希望に言った。
「何かが変わったと思います」
「骨折、治ったかな」
「実は肋骨にもヒビが入ってます」
「じゃあそこにも垂らしてみるね」
「お願いします」
こうしてだ。真人の胸にもだ。その緑の水が垂らされた・
それが終わってからだ。真人はだ。
笑顔でだ。こう希望に言ってきたのだった。
「実はこれまで少し無理をして動かすとです」
「肋骨が痛かったんだね」
「はい。そうでした」
「けれど今は」
「痛くありません」
そうだというのだ。
「まるで怪我をする前みたいに」
「そう。じゃあ本当に」
「その方。千春さんが遠井君にくれたお薬はです」
「本当にどんな怪我でも一瞬で治す」
「そうしたものですね」
こう希望に話してだ。そのうえでだ。
駆れば起き上がり、これまでできなかった動作からだ。こう希望に言ったのだった。半身を起こして彼に顔を向けた姿勢になってだ。そのうえでの言葉だった。
「ただ。そのお薬ですが」
「変わってるよね」
「本当にどういったお薬でしょうか」
かなり具体的にだ。薬に感心と疑念を抱いてのことだった。
「普通のお薬には思えませんが」
「そうだね。言われてみれば」
「河童の妙薬の様ですね」
「童話とかに出て来るあれ?」
「はい、それを思わせます」
それこそ飲んだり塗るだけであらゆるものを治すだ。あの妙薬だというのだ。
それを連想しつつだ。真人は希望に話した。
「千春さんはものすごいお薬を持っておられますね」
「今までは普通に思っているだけだったけれど」
「このお薬を使われればです」
「僕も安心してスポーツ
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