最終章:無限の可能性
第271話「帰る場所を守るため」
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「……この神界においては、意志を始めとした抽象的な概念が強く作用する。それを利用すれば、空間置換や転移を魔法なして使えるやもしれぬぞ?」
「っ……もしかして、私と光輝の事を言っているの?」
目が自身に向いていたために、自分に言っているのだと優香は思う。
ディアーチェはそれに対し“さて、どうであろうな”と誤魔化す。
「抽象的な概念……まさか、夫婦だからとか、そういう……」
「驚きました。まさか王ともあろう方が、そんな事を言い出すとは……」
「さすがに我も考え方くらい変えるに決まっておろう」
夫婦の絆。それを利用しようとディアーチェは言うのだ。
クロノもシュテルも、いくら“意志”を使っていたとはいえ一瞬理解し難かった。
「二人の繋がりを利用して、私の“旅の鏡”を再現するって事?」
シャマルも何となく理解し、そういう事なのかと確認する。
返答は肯定だった。
「絆、夫婦としての繋がり……」
「出来ぬか?」
「……いえ。いいえ」
ディアーチェの問いに、優香は静かに、力強く否定する。
「光輝も、優輝と緋雪達だって頑張っているもの。私だって、応えて見せるわ」
光輝は未だにザフィーラ達と共に攻撃の盾となっている。
そして、子である優輝達もこの先で戦っている。
ともなれば、自分も奮い立つべきだと、優香は確かな“意志”を抱いた。
「さすがに単騎で、とは言わん。シュテル!レヴィ!」
「わかりました」
「出番だね!りょーかい!」
ディアーチェの呼びかけにすぐに二人は応える。
「作戦……とは呼べぬが、想定する流れはこうだ。まず、二人を付けた貴様が肉薄する。そこで貴様ら夫婦で互いに想い合え。その“意志”が強ければ、空間置換を再現できるだろう。少なくとも、“意志”による魔法発動の助けになるはずだ」
「……わかったわ」
全てが想定。どれもが確実に行くとは言えない。
だが、そんな“可能性”を掴まなければ、勝利は見えない。
故に、優香は即座に覚悟した。
「ぬ、ぐぁっ!?」
「そろそろ持たんぞ!」
「……余裕はない。すぐにでも往け!」
「ええ!」
ザフィーラが吹き飛ばされ、前衛が限界になる。
すぐさま、優香はシュテルとレヴィを連れて結界を飛び出していく。
「優香……!?」
「作戦通りだ!慌てるでないぞ……貴様はあやつを想え。貴様らの絆こそ、この状況を打開する一手になり得る……!」
「っ……!」
光輝が飛び出していった優香を気にするが、ディアーチェがすぐに止める。
クロノもディアーチェに同意するように頷き、光輝は一端気を落ち着かせた。
「……聞かせてくれ」
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