第四百四十七話 妖怪の森からその十三
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「いい加減わしをろくでなしの極みと言うのは止めろ」
「ああ、おっさん覗きはしねえぜ」
ユルセンもこのことは保証した。
「ただ飯食って酒飲んで寝てるだけだぜ」
「そうだ、そんな非紳士的なことはせぬ」
「そのことは安心しろよ」
「だといいけれどね」
アニエスはユルセンの言葉に頷いて述べた。
「この人胡散臭いから」
「胡散臭いのは事実だけれどな」
「それでもなのね」
「スケベなことはしねえからな」
「安心していいのね」
「俺の入浴は見たけれどな」
「ユルセンもお風呂入るの」
まなはそのことに少し驚いた顔になった。
「そうなのね」
「これでも元々猫で奇麗好きだからな」
「入るのね」
「猫の時はいつも身体を舐めて奇麗にしてな」
そうしてというのだ。
「そしてこの時はな」
「お風呂に入ってなのね」
「奇麗にしてるんだよ」
「そうなのね」
「ああ、だから今日も入るぜ」
そうするというのだ。
「だから覗くなよ」
「そんなことはしないから」
まなはユルセンに真顔で返した。
「私も」
「だといいけれどな」
「というか覗きなんかするかよ」
ねずみ男もそれはと言った。
「誰のだってな、風呂なんて大嫌いだしな」
「あんたはそうよね」
猫娘がそのねずみ男に突っ込みを入れる。
「生まれてからだしね」
「おう、風呂なんて入ったらな」
それこそというのだ。
「俺は俺でなくなるぜ」
「ねずみ男じゃっていうのね」
「そうさ、だから入らねえさ」
「別に強制はせん」
目玉の親父もそれはと答えた。
「入りたい者が入ればいい」
「そういうことですね」
「そうじゃ、しかし訓練で疲れた身体を癒すことはな」
目玉の親父は天空寺に答えた。
「すべきじゃ」
「そういうことですね」
「では疲れを癒してな」
「また明日ですね」
「そうしようぞ」
「では拙僧も」
御成は笑って述べた。
「入りますか」
「御成さんは奇麗好きな感じがするよな」
すねこすりがその御成に言った。
「やっぱりな」
「そうでしょうか」
「ああ、さっぱりしてな」
「この頭のせいで」
「ははは、それ自分で言うんだな」
すねこすりは自分の頭を撫でた御成に笑って返した。
「けれどそう言ったらな」
「そうなりますか」
「ああ、けれど全体的にな」
「拙僧は清潔ですか」
「そんな感じだな」
「それは何よりですな、では今宵も」
御成はすねこすりに言った。
「入りますぞ」
「俺も入ろうか」
「そうされますか」
「俺も奇麗好きだしな」
そんな話をして一行は牡丹鍋を食べてだった。
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