第四章
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「本当に」
「それは獣医さんも連絡する時にね」
「気付かれたんですか」
「今は新品に替えたけれど」
その首輪をというのだ。
「ずっとお外だったから首輪もね」
「ボロボロになっていてですか」
「見えにくくもなっていたから」
「だからですか」
「仕方ないわね、連絡先も見えにくくなっていたし」
「そうですか」
「ただ命を粗末にする様な病院は」
郷田さんは再びその病院の話をした、ここで由美はそれぞれの猫の特徴に気付いた。
シューベルトは青い目でショパンは緑、そしてバッハは黒だ。三匹共白猫であった。
「許せないから」
「お話しますか」
「ええ、そしてもう二度と行かないわ」
こう言って実際にだった。
郷田さんは二度とその病院に行かず周りにも話した、悪事千里を走るで忽ちの間にその動物病院の悪評は広まり。
病院は潰れた、由美はその状況を見て夫に家で話した。
「そうなったのよ」
「自業自得だな」
夫はその話を聞いて行った。
「それは」
「そうよね」
「そんな病院はな」
「潰れて当然よね」
「正体を知ったらな」
それこそというのだ。
「誰も行かないさ」
「そうよね」
「だからな」
それでというのだ。
「もうな」
「潰れてね」
「当然だよ、じゃあうちはな」
「これからもね」
「あの病院に行くな」
「確かに遠いけれど」
車で二十分だがというのだ。
「それでもね」
「あの病院に行くな」
「そうするわ」
「それがいいな、キッドの為にもな」
「やっぱり命を大事にしてくれる」
「そうした病院に行かないとな」
キッドの背中を撫でながら話した。
「そうしないとな」
「そうよね、キッドもそれでいいわね」
「ワンッ」
キッドは由美の言葉に一声鳴いて応えた、そのキッドを見てだ。
由美は太一に笑顔で言った。
「キッドもいいみたいだし」
「それじゃあな」
「これからもね」
「命を大事にしてくれる病院に行こうな」
夫婦でキッドを交えて笑顔で話した、そうしてキッドをブラッシングしてご飯をあげた。これからも彼を大事にしていこうと思いながら。
外道獣医の末路 完
2020・12・22
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