110 さらなる激動へ
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かよ子は清水に帰った。
「かよ子、お疲れ様。大変なクリスマス・イブだったわね」
「うん、でも・・・」
かよ子は思う。この日、始めて日本赤軍のリーダーに会った。とても恐ろしそうな女だった。
(絶対に渡せない・・・。この杖は・・・!!)
かよ子はまた誓う。そしてもうすぐ始まると予感する。大きな大きな戦いが。
三河口と奏子は元の商店街へ戻った。
「奏子ちゃん、ごめんよ・・・。折角二人で楽しめた所だったのに赤軍の奴の邪魔が入って・・・」
「ううん、そんな事どうでもいいわ。気にしないで。また、何かあったらいつでも私を頼りにして・・・」
「あ、うん・・・。じゃあね」
「バイバイ・・・」
二人は別れた。
房子は全員に撤退命令を出した。
「く、欲張ったツケかしら?」
「総長、申し訳ございません」
「こうなったら政府も利用するべきね。何の為の日本赤軍なのか・・・」
「勿論、この腐り果てた日本を治す為ですよね」
奥平が答える。
「そうね、大日本帝国の復活は近づいて来ていると思えばいいわ」
かよ子の家では父が予約していたというクリスマスケーキを買って帰って来た。
「只今」
「あ、お帰り、お父さん・・・」
「どうしたんだ?元気ないな」
「実はね、隣の羽柴さんとこのさりちゃんが赤軍に襲われて皆で助けに行ったのよ」
「そうだったのか!?大変だったな・・・」
「うん・・・」
「名古屋の街は凄い大変だったわ。赤軍にあちこち破壊されて・・・」
「うん、高校の文化祭の時よりもずっと酷かったよ・・・。それから、赤軍のリーダーにも会ったんだ」
「赤軍のリーダーだって!?」
かよ子の父もこのニュースには驚かない訳には行かなかった。二人はそれ以上は何も言えなかった。これからの戦いに緊張感が出てくる山田家のクリスマス・イブの晩餐はあまり楽しいとは言えなかった。
ただ何かをする用がないというのに、藤木茂は外に出ていた。夕焼けの中、富士山が見える場所に来ていた。
(ああ、いいな、あの富士山は堂々と立ってて・・・。俺なんか、なにもできない卑怯者なんだ・・・。笹山さんには嫌われるし、皆から卑怯、卑怯って言われるし・・・。僕なんかここに居ても意味ないよな・・・)
藤木にとっては絶望のクリスマス・イブである。そんな時、ある人物から声を掛けられた。
「おやおや、そこの坊や、どうしたのかしら?」
藤木は振り返った。そこには美しい女性がいた。
「実は、クリスマスが楽しくなくて・・・。いつものように皆から卑怯、卑怯って言われて、好きな女の子からは嫌われるし、もう自分も、ここにいるのも嫌になって・・・。うう・・・」
藤木は喋るうちに段々泣き始めた。
「酷い子達ね。よってたかって皆でいじめて・・・。可哀想に・・・
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