第二章
[8]前話
「しないしな」
「いいか」
「ああ、こんな狂暴な奴でも」
訳もなく暴力を振るう様な猫でもというのだ。
「いいぜ」
「一緒にいてか」
「本当にな」
中川に笑顔で話した。
「それは事実だぜ」
「そうなんだな」
「そうだよ」
中川に笑顔で話した、そしてここで。
ぽんたはゆっくりと起き上がった、そうして。
藤田のところに来た、藤田はその彼を見て中川に笑顔で話した。
「こうしていつも近寄って来てくれるんだよ」
「ニャア」
ぽんたはとことこと来る、その彼を見つつ話すのだった。
「嬉しいよな」
「そうなんだな」
「いつもこうだからな」
「だから引っ掻かれてもか」
「それ位はいいさ」
こう言うのだった。
「何だかんだ言ってな」
「それは何よりだな」
「そうだよ、家族だからな」
ぽんた、彼はというのだ。
「やっぱり一緒にいていいぜ」
「そうか」
「ああ、じゃあぽんたこっちに来い」
藤田は今度はぽんたに声をかけた。
「膝の上に来るか?」
「ニャア」
ぽんたは彼のすぐ傍に来た、そして。
彼の膝の上に来る、そう思ったが。
「!!」
「何っ!」
藤田も中川も驚いた、何と。
ぽんたは彼の膝に両方の前足で激しく猫パンチを何発も浴びせた、そして。
こらっ、と藤田が怒ると太った身体で素早く駆け去った、中川はその後で藤田に言った。
「そんなことしてもか」
「ああ、それでもな」
藤田もこう返した。
「家族でな」
「一緒にいてか」
「退屈しなくてな」
「寂しくないんだな」
「ああ」
そうだというのだ。
「本当にな」
「そうなんだな」
「だからな」
「暴力振るわれてもか」
「それでもだよ」
猫と一緒ならというのだ。
「ずっといたいぜ」
「そうか」
「ああ」
本当にというのだ。
「幸せだよ」
「そうだといいけれどな」
「ああ、だからな」
それでというのだ。
「ずっとぽんたと一緒だぜ」
「少なくとも不幸には見えないな」
「だろ?」
中川に笑顔で返した。
「だからな」
「これでいいんだな」
「猫と一緒にいると飽きないぜ」
笑顔でこう言ってだった。
藤田は中川にまたぽんたの話をした、もうぽんたは先程の暴力のことは勝手に忘れて飼い主自分では下僕と思っている彼のところに行った、そしてその下僕も彼を笑顔で迎えて中川に見せて話をするのだった。
理由なき暴力 完
2020・12・20
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