第二章
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「ここで猫を飼うとね」
「ああ、婚期逃がすっていうわね」
「猫にかかりきりになって」
生活が猫を中心にしたものになってというのだ。
「それでね」
「よく言われるわね」
「そうなるから」
それ故にというのだ。
「婚活とかしなくなって」
「婚期逃がすのね」
「そう言われてるわよ」
こう彼に話した。
「もうね」
「それじゃあ」
「そう、本当にね」
それはというのだ。
「あんた危ないかもよ。私も今必死だし」
「婚活に」
「幸い相手いるから」
「その人と」
「そう、三十になるまでにってね」
その様にというのだ。
「お話進めてるけれど」
「私の場合は」
「危ないわよ」
小鳥に忠告する様に話した。
「それでもいいのね」
「拾ったのも縁だしエミリー可愛いし一緒にいて和んで楽しいし」
今年は都にのろけた声で応えた。
「それでね」
「そのうえでなの」
「もうね」
それこそというのだ。
「エミリーと離れられないわ」
「これは危ないわね」
都は眉を顰めさせて小鳥に話した、そしてだった。
小鳥は実際にエミリーと幸せな生活を送っていて彼女中心のものになっていた、それで完全に婚期を逃すと自分でも思っていたが。
小鳥の隣の部屋に若い男が入った、だが彼は小鳥の部屋に挨拶に来たその時にだった。
「ニャ〜〜〜」
「!?」
面長で黒髪を短くしていてきりっとした目の会社員の男だった、背は一七四程である。だがその彼は。
小鳥の後にとたとたとやって来たエミリーを見て思わず言った。
「エマ!?」
「エマっていいますと」
「この娘まさか」
男はエミリーを抱き上げた、すると。
エミリーは一切抵抗せずむしろ慣れた感じだ、小鳥は初対面でと思ったが男はその横でエミリーの首輪をまじまじと見た。
そしてだ、小鳥に言った。
「間違いないです、エマです」
「ですからエマっていうのは」
「うちの猫です、三ヶ月位前に家出して」
「三ヶ月前は」
その頃はとだ、小鳥は言った。
「私がこの娘を拾った」
「その場所は」
「はい、それは」
「ああ、その時俺が住んでいた部屋の近くですね」
男は小鳥にこう返した。
「丁度引っ越しが決まって」
「その時期だったんですか」
「そこで窓が開いている時に」
その時にというのだ。
「家出して、ネットとかでも迷い猫で探していたんですが」
「そうだったんですか」
「ずっと首輪代えようって思っていたんですよ」
エミリーのその首輪を見ながら話した。
「電話番号も、名前も最後のAの部分が消えていて」
「はい、それで私もわかりませんでした」
「大丈夫かなってずっと思っていましたが」
「それがですね」
「見付かってよかったです」
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