第四章
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「ああしてなの」
「そうか、何とか打ち解けて欲しいな」
「気長にやっていくわ、酷い虐待を受けたから」
「ああなって当然か」
「人間が信じられなくなっているのよ、けれどね」
「あんな奴だけじゃないからな、人間は」
義定は元の飼い主、あの碌でもない男のことを思い出した。
「だからな」
「ええ、だからね」
「それでだよな」
「何とかね」
「懐く様にな」
「していきたいわ」
「少しずつでもな」
こう話してだった。
義定は猫達を見ていた、だがこの日二匹はずっとそのままだった。
暫く歳月が経った、だが光流はいつも二匹の世話をして優しい声と笑顔をかけていった。そうしていくと。
するとだ、その二匹も。
家に来て数ヶ月経っていた、だが遂にだった。
少しずつ光流に近寄ってきた、そしてご飯も食べる様になり。
一年もすると完全に彼女に懐いた、義定は仲間達と共にその二匹を見て笑顔になった。
「よかったな」
「ああ、ボロボロの状況でな」
「死にそうだったのがな」
「それで助かっても心を開かなかったのに」
「ここまでなってくれるなんてな」
「よかったぜ」
義定は笑顔で言った。
「本当にな」
「そうだよな」
「猫も誠意を以て接すると心を開いてくれるんだな」
「虐待を受けていても」
「そうなるんだな」
「そうね、本当によかったわ」
光流は猫達を左右の手に一匹ずつ抱きながら弟と彼の仲間達に応えた。
「心を開いて」
「姉ちゃんだからだよな」
義定はその姉に笑顔で言った。
「優しくて穏やかな人だから」
「この娘達も心を開いてくれたの」
「そうだよ、若しあいつみたいな奴だったら」
元の飼い主のことは今も忌々し気に言及した。
「こうはならなかったよ」
「本当に酷い人だったのね」
「ああ、けれどな」
「私だからなのね」
「この娘達もそうなったんだよ、じゃあな」
「ええ、これからもね」
「その娘達に優しくしてやってくれよ」
姉に優しい笑顔で話した。
「そうしてくれよ」
「ええ、そうしていくわ」
姉も優しい笑顔で応えた、そしてだった。
義定は姉そして仲間達と共に猫達に優しい笑顔を向けた、すると二匹も嬉しそうに鳴いてそれで応えた。
「ニャア」
「ナア」
二匹は今はとても幸せそうだった、そして。
義定は後日元の飼い主が刑務所の中でも凶悪な態度をあらためず怪我をしても医師にもかかろうともせずその怪我から破傷風になってそれで苦しみ抜いて死んだと聞いた。彼はその男について心の底からざま見ろと思った、そのうえでこの日も姉の家に行って猫達と遊んだ。二匹はその時も姉と一緒にいた。幸せそうに二匹で寄り添いながら。
ずっと一緒の姉妹 完
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