第百八十二話 枢軸の神具その十二
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「そして今も実家はだ」
「東京の大きなお屋敷やな」
「そうだ、江戸時代のままのお屋敷でだ」
「住んでるんやな」
「うむ、父上と母上、兄上達がな」
「それでやな」
マリーナはあらためて言った。
「関西のお笑いはやな」
「疎いのだ」
「そこはしゃあないな」
「東京には東京のお笑いがあってだ」
「日毬っちはそっちやな」
「そうなる」
こうマリーナに答えた。
「こちらに来て数年になるがまだな」
「関西のお笑いはあかんか」
「どうもツボが違う」
「同じ日本でもやな」
「そうだ、だが」
「だが?」
「貴殿は違うな」
日毬はかけそばを食べつつマリーナに問うた。
「お笑いは関西だな」
「もっと言うと食べもんもな」
「そうだな」
「日毬っちざるそばは噛まへんやろ」
「噛まずに一気に飲む」
そうして喉越しを味わうというのだ、これは東京の蕎麦の食べ方でこれにこだわる江戸っ子は通だという。
「そうして食べている」
「そやな、あと鰻は背中から切ったのやな」
「さっき切腹の話が出たがな」
「あっちでは背中から切ってやな」
「腹からは入れない、切腹になり縁起が悪いからな」
「そやな」
「醤油も違うしな」
和食に欠かせないこの調味料もというのだ。
「関西の薄口醤油と違う」
「そこもちゃうな」
「私と幸田、そして永井君は東京だ」
何といってもという言葉だった。
「それも三人共代々だからな」
「こっちにもってもそれが出てるな」
「そうなる」
「まあおいらと麻友っちは下町でな」
幸田は自分の生まれの葛飾のことから話した。
「日毬ちゃんは武家屋敷だけれどな」
「平民と貴族っていうとちょっとちゃうか」
「まあ言うなら武士は騎士ってなるな」
幸田はマリーナに述べた。
「言うならな」
「そやな」
「そこの違いがあるんでい」
「それが東京やな」
「おうよ、そこはわかってくれよ」
「そういえば時代劇でも江戸は侍が多いな」
「百万いてそのうちの半分がそうだったからな」
当時江戸は世界一の街になっていた、人口百万に達し繁栄していたのだ。それも江戸時代という長い時代の中二百年以上はそうだった。
「幕府があって諸藩からお侍さんが集まってな」
「五十万位がやったんやな」
「そうだったんでい」
「逆に大坂は侍おらんでな」
中里はこちらの街の話をした。
「数百人位しかおらんで一生侍を見なかった人もおった位や」
「そんなんか」
「大坂城代がいて奉行所があってもや」
尚奉行所は大坂では東西だった、江戸は南北であったのに対してそこは違っていたのだ。尚江戸には中町奉行所もあった時代があった。
「ほんまにな」
「お侍さんは少なかったんやな」
「そやったんや」
「そうやった
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