第三百四話
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第三百四話 ういろう
赤音は三色団子と聞いてこう言った。
「三色団子もいいけれど」
「どうしたの?」
「ういろうもよくない?」
このお菓子を出すのだった。
「茶道の時のお菓子に」
「あっ、そうね」
華奈子は赤音のその提案を否定せずにこう返した。
「ういろうも美味しいわよね」
「そうでしょ」
「しかも種類も多いし」
「白と黒でね」
それにとだ、赤音はさらに言った。
「抹茶、小豆、コーヒーでね」
「柚と桜ね」
「合わせて七種類ね」
「これだけあるから」
「余計にいいわね」
「そうね」
「ういろうはね」
美樹も言ってきた、それも明るい顔で。
「いいわよね、私大好きなのよ」
「あっ、そうだったの」
「元々羊羹が好きで」
美樹は赤音に笑顔で話した。
「それで小学一年の時にういろうも食べて」
「それでなの」
「大好きになったのよ」
ただ好きでなくというのだ。
「そうなったの」
「そうなのね」
「だからお茶菓子なら」
それで出るのならというのだ。
「私もね」
「大歓迎?」
「ええ」
笑顔のままでの返事だった。
「本当にね」
「そうなのね」
「お団子もいいけれど」
「ういろうもなのね」
「いいと思うわ」
「それも七種類全部揃えて?」
「そうなったら」
それこそというのだ。
「もう文句はないわ」
「じゃあ美樹ちゃんと私はういろうね」
「それ推しになるわね」
二人でこう話した、三色団子の次は七種類揃ったういろうが出て来てそちらの話はさらに弾んでいった。
第三百四話 完
2020・10・4
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