第二話 二人のはじまりその九
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「駄目なんですよ」
「それだけじゃわからないからだね」
「人は外見では何もわからないです」
「生き方は顔に出るっていうけれど」
「それは人相やそうした話ですね」
「人相と外見は」
「また別です」
真人が今言うのは生まれたままの外見のことだった。それなのだ。
「太っていても痩せていてもそれは同じです」
「じゃあ外見だけで人の判断は」
「する人は駄目なんです」
「それじゃああの娘は」
「多分。遠井君の心を知ってるんです」
「僕のこの心を」
「はい、ですから」
それ故にだと述べる真人だった。
「その方は遠井君と一緒にいたのだと思いますよ」
「だったらいいけれどね」
「どちらにしても。そういう方なら」
どうかというのだ。
「素晴らしいですね」
「だといいけれどね」
真人以外に人を信じられなくなっている希望にとってはだった。そうした人がいることはだ。
信じられなかった。それで言うのだった。
「それだったら」
「信じられる人はいますよ」
「いるかな」
「僕だけじゃないです」
こう言うのだった。今度は優しい笑顔に戻っている。
「ですから。その人ともです」
「仲良くしていくべきなんだね」
「そう思います。それではです」
「本当にいいのかな」
「はい、とても」
こう言うのだった。そしてだ。
暖かい声でだ。また希望に述べた。
「それに僕はそのお話を聞いて」
「あの娘のことを?」
「凄く嬉しいです」
「嬉しいって」
「僕だけじゃなかったですから」
それでだ。嬉しいというのだ。
「遠井君の理解者がまたできたのですから」
「僕の理解者が」
「遠井君はいいものを多く持っておられます」
「いつもそう言ってくれるね、友井君は」
「事実ですから」
だから述べるというのだ。真人はだ。
「ですから」
「事実だったら本当にいいけれど」
「僕は嘘は言いませんから」
このことも言う。実際に彼は嘘を吐いたことはない。希望に対して常に温厚でありそして誠実なのだ。そうした意味で彼は非常に稀な人物なのだ。
このことを知っているからこそだ。希望も頷いた。そしてだった。
静かにだ。こう言ったのである。
「そうだね。それじゃあ」
「一度その方に御会いしたいですね」
「千春ちゃんに」
「遠井君に相応しい方なのでしょう」
まだ会っていない千春についてだ。真人は温かい目で述べた。
「そうした方だからこそ」
「僕と一緒にいてくれたんだ」
「今日もその人と会われますか?」
「それは」
「若し会われるのならです」
また会う約束はしたがそれでもだ
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