暁 〜小説投稿サイト〜
同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
閉会〜金帰火来には遠すぎる〜
分かたれた家〜ティアマト民国〜
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なくとも議会といいますか、軍と評議会の外に出るタイミングは作戦決行の1月程度前ですよ」
そのタイミングであれば“事情通”の連中は何か行動がある事を掴んでいる。アリシアの周囲であればリヴォフやイロンシはその筆頭だ。
「‥‥‥イロンシはともかくリヴォフ老は私達に教えてくれるはずよね」
イロンシは同じ会派に属しているし気のいい男ではあるが【現役軍人】としてヴァンフリートに利がある機密情報となれば仲間内にすら喋らない。とはいえそれを責めるつもりはアリシアにはさらさらない。
下院議員は党派の理論に従うが、同盟弁務官――上院議員は良くも悪くも会派に属しても党議拘束はなく、国益に反するとなれば造反するのが当然のこととみなされる――があまりにもそれでは票読みもできず調整が難しいので会派単位でまとめるのが原則であるが。
その代わりに国家から支援を受け多くのスタッフを抱え調査や政策立案に行動する。便宜上――というよりも同盟憲章と共に構成国の法制において【構成共和国の特別職公務員】として位置づけられている。
イロンシも同様だ。地上軍出身であるがヴァンフリート将校はヴァンフリート民主共和国の行政を支配するエリート中のエリートである(たとえそう見えなくとも!)
彼らが同盟軍に出向し血を流すのはそうしたコネクションを欲するからにほかならない。
彼が築き上げた太いコネクションは地上軍から各構成国軍まで伸びている。それに帝国軍の置き土産に悩まされる【交戦星域】にとってヴァンフリートは一種の社会インフラだ。相互に深く経済的にも対帝国政策としても依存している。イロンシが意図的に距離をとっていようとも会派の仲間を蹴落とそうとするほど愚かでもない。【縦深】にとってもイロンシは必要な人材であるし、イロンシにとっても【縦深】は上院で存在感を発するためにも、地域代表として交流を深めるためにも必要不可欠なものだ。
であるならば【交戦星域】に不利益をもたらすのであれば遠回しに警告のサインを送ってくるだろう。
リヴォフ老は艦隊兵站を4半世紀近く耕し、アスターテ政府の国防部門に20年近く籍を置き、国防委員会と宇宙軍にこれまた太いパイプを持っている。そしてきわめて単純に考えればイロンシよりも先に我らが世話役のリヴォフ老が察知するのが自然である、そして彼より先に察知できるのは――立案の当事者の一人だ。
「何か知っているとしたらホアン・ルイ――?シトレ本部長の再任に向けた動きを私たちに出してきたのって――」
――シトレ本部長とドーソン次長が酒を飲んだらしい。
そうだ、これはホアン・ルイの発言だ。彼はこのあとは一切発言せずリヴォフやリッツの推理にも何一つ発言していない。
――ドーソンとシトレが手を組んだ。つまりは情報部、憲兵そして統合作戦本部内局で何か動
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