暁 〜小説投稿サイト〜
同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
閉会〜金帰火来には遠すぎる〜
分かたれた家〜ティアマト民国〜
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際は女性労働問題に取り組む若手弁護士アリシアと艦隊兵站の顔役であったリヴォフ提督はギャンギャンと契約に向けた舌戦を繰り広げていたのが本当の姿である。議会に上ってからは”現場を知らない理屈倒れの小娘”と”どうしようもない保守を気取った時代遅れのタコ親爺”が右派と左派にいるのだからなんともはや、である。

「お前さんも頭が切れるんだから何かしら考えてくれよ、ではまた後日」



 ミーティングを終えたアリシアを出迎えるのは情報収集担当弁務官補佐の班が収録し、メモを飛び交わす姿であった。

『昨日のグリーンヒル大将のヴァンフリート議会演説に対し、ヨブ・トリューニヒト国防委員長は『個別の案件についてコメントは差し控えさせていただく。だが、我々は常にサンフォード議長と意見を交換し、シトレ本部長と共に必要な改革を進めている』と発言いたしました。シトレ本部長は『ノー・コメント』と――』
『エル・ファシル共和国のルイーゼ・ペイリン首相は記者会見においてグリーンヒル総参謀長の『ヴァンフリート演説』に対し、『専制主義者の侵略は同盟市民存亡の危機であり、その橋頭堡たるイゼルローン要塞を陥落させることは何よりも同盟政府が優先するべきものである。我々はそれに協力を惜しむべきではない』と記者の質問に対し返答を――』
『アルレスハイム王冠共和国のハンソン首相は『ヴァンフリート演説』について首相声明を発表しイゼルローン攻略に対する着実な措置を求めながらも、その意義は全同盟市民の民生保護にある事を忘れないで欲しいと――』
『「オリベイラ学長、ヴァンフリート演説はどのような意図があってあの場で行われたのでしょうか?」
「はい、ヴァンフリートをはじめとする【交戦星域】はこれまで常に軍と協力関係を結んできました。先のヴァンフリート会戦においてもセレブレッゼ中将の4=2基地が奇襲を受けた際に人民防衛軍をはじめとした構成邦軍の活躍は記憶に新しく。この地を選んだメッセージとして――」』

「どう何かわかった?」
 情報収集担当の政策秘書(税務官僚上がり)に尋ねる。
「ペイリン首相がいつもの調子、ハンソン首相は警戒、オリベイラ学長はヴァンフリートを持ち上げていますよ」
 ペイリン首相はエル・ファシル共和党を率いる保守派の女性論客だ。オリベイラ学長は官僚や法曹界、政治家を数多く輩出してきた同盟自治大学の学長であり、最高評議会事務総局参与を長く勤めている行政法学者である。
「オリベイラ学長が……そう」
 各構成共和国や同盟の公法の運用を知悉しており伝統的に立場の弱い同盟政府官僚団の権威を確立してきた男だ。
「軍首脳部だけではくオリベイラ教授までもが動いているのは政権の意向なのは間違いない、問題はその政権のどれほどか」
 政策秘書も同意し、首をかしげる。
「変です、少
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