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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
閉会〜金帰火来には遠すぎる〜
分かたれた家〜ティアマト民国〜
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さて、このたび、舞台となるティアマト民国に現在国土は存在しない……というと誤りである。
正式には『同盟政府による無期限の避難指示』が敷かれたままである、だがそれが百余年もの間間断なく続くとなれば現実政治も建前ではなく実態に追従するのは当然のことである。
ティアマト民国の成り立ちは同盟構成邦の中でも最も古い部類である。銀河連邦末期の混乱とルドルフの粛清の余波で失われた植民地【サジタリウス準州】を構成する農林水産、すなわち一次産業に特化した惑星であり、二次・三次産業の中核都市を目指す企業連合が取り仕切るパランティア、宅地開発と開発の運輸・行政拠点となるはずだったエル・ファシルと関係が深かった。
銀河連邦本土たるオリオン腕から当時発見された唯一の航路、難所であるイゼルローン回廊の向こうにある【サジタリウス準州】の開発を任された企業家達は意気軒昂たるエリート揃い――だったわけではない。
肥大化し統治が行き届かなくなった銀河連邦において新たな土地は福音ではない。財界における新規開発地への派遣とは、熾烈な権力闘争に敗れ、事実上の流刑に処遇であった。
辺境の治安悪化により寸断された流通と事実上放逐されたに等しい待遇からか、彼らは【独立経済圏】の構築にひどく熱心であった。海賊(大半は銀河連邦軍や地方自治体治安軍の軍閥崩れや企業の私兵達)と取引を行い、産業の多角化を目指していた。
ティアマトもそのニーズに伴い一次産業のみならずバイオ産業の一部を引き受けるまでに成長した。
やがてルドルフ政権の大粛軍と地方海賊の大掃討作戦による混乱で脱走兵や海賊が雪崩れ込む頃にティアマトは、【サジタリウス経済圏】の要地にまで成長していた。
だがルドルフの狂乱と時期を同じくして発生した【ナイナーニェン危機とヴァンフリート革命】による孤立したサジタリウス腕における初の大規模軍事衝突の危機とその後の相互不信による停滞期を迎えることになった。
それを打ち破ったのは【偉大な詐欺師】グエン・キム・ホア率いる【ピューリタン達】であった。彼らはサジタリウス準州の要人たちに【居住地開拓支援】を求めながらも、勢力均衡の打破を目論む彼らの複雑な政治的駆け引きを掻い潜り、サジタリウス腕最奥のバーラトに入植し、意図的に【広大な未開拓地】を作り出した。
グエン達は帝国の脅威を見据えつつ井戸の中で不毛な駆け引きを続ける蛙達に【広大な需要】を作り出したのだ。それにより引き起こされた狂乱的サジタリウス腕の開発を支えたのは間違いなくティアマト民国の強固な一次産業が生み出す食糧生産力の賜物であった。
ダゴン星域開戦以降の亡命勧奨工作の成功による【狂乱の20年間】で同盟の国力はさらに飛躍し、人口の増大と工業化はティアマトの一次産業をさらに豊かにした。
だがそれを打ち砕いたのがコルネリアス
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