第二話 二人のはじまりその七
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今彼等がいる商店街からかなり離れている山にまで行けるとは思えずにだ。彼は怪訝な顔になり問い返したのである。
「それはちょっと」
「ううん、すぐだよ」
だが、だ。またこう言う千春だった。
そしてだ。千春はだ。
そのうえで希望にだ。言ったのだった。
「じゃあね。千春のお家までね」
「行くんだね、今から」
「うん、行こう」
こう彼に告げてだ。その左の手首を自分の右手で掴んだのだ。そしてだ。
その希望にだ。こう言ったのだった。
「目を閉じて」
「目を?」
「そう、目を」
こう希望に対して告げる。それを受けてだ。
希望は実際に目を閉じた。千春の言うままに。
そして目を閉じてだ。どれだけの時間が経ったかわからない。しかしだった。
千春は再びだ。希望に言ってきたのだった。
「いいよ」
「目を開けていいの?」
「うん、開けて」
微笑む声での言葉だった。
「そうして、今」
「うん、それじゃあ」
千春の言うままにだ。彼は再び目を開けた。するとだ。
彼の目の前にだ。大きな玄関があった。そこはだ。
白い壁に赤茶色の屋根の洋館が大きな緑豊かな庭の中にあった。西洋風の窓が見える。
煙突まである。その洋館を玄関の向こうに見てだ。
希望はだ。目の前にいる千春にだ。こう問うたのだった。
「あれは千春ちゃんの?」
「うん、千春のお家だよ」
まさにそうだとだ。千春は希望に向かい合い微笑んで話したのである。
「あのお家がね」
「そうなんだ。あのお家が」
「送ってくれて有り難う」
ここでも笑顔で言ってくる千春だった。
しかしだ。希望はだ。
まだ呆然としてだ。そしてこう返すのだった。
「何かすぐに着いたと思うけれど」
「だからすぐに着くって言ったから」
「それはそうだけれど」
「それじゃあ希望のお家にもね」
戸惑う希望にまるで考える暇を与えない様にだ。千春は彼にさらに言ってきた。
「すぐに着けるからね」
「僕の家にもって」
「そう、すぐだよ」
こう言うのだった。しかしだ。
希望はそう言う千春にだ。戸惑いながら言おうとした。それはだとだ。
「あの、幾ら何でも」
「大丈夫だよ、すぐだから」
屈託のない笑みでだ。千春はまた希望に言った。
「本当にね」
「すぐにって。そんな」
「まただけれど」
「また?」
「目を閉じて」
ここでもだ。こう希望に言うのだった。
「そうしてくれる?」
「目を?」
「そう、目を閉じて」
そうしてくれとまた言う千春だった。そして希望はだった。
千春の言葉を受けてだ。実際にその目を閉じた。そ
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