新世界の『日常』
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い地域では白人は白人の学校、黒人は黒人と、それぞれ違う学校に通うのが主流だったため、わざわざ遠方の学校に通わなくてはならなかった子供も多かったが世界征服後には様々な民族や人種が同じ学校、同じクラスに通うこととなった。さらに個々の理解度に合わせて飛び級も認められていた。
だがショッカーの教育改革はいい面ばかりではなく、就学の義務化も人種や宗教の壁を取り払ったのも、未来を担う子供達の思想の統一化を図って行われたものであり、子供達はショッカースクールで幼い頃からショッカーの主観による世界観が叩き込まれることになった。
道徳では「ショッカー的な人民になることの大切さ」、国語では「ショッカー的な文学」、歴史の授業においては「旧世界は如何に人民を虐げていたのか」、「大首領様はどのようにしてバラバラだった世界を1つにまとめ上げたのか」、「大幹部達の偉大な半生」に重点が置かれている。
さらに体育の授業では球技や体操の他に『集団行動における自身の役割と責任を自覚させる』という名目で簡単な行軍演習や実弾射撃なども行われていた。
これにはさすがに保護者から難所を示されたが『テロの脅威から自らを守るため』と教師が説明すると渋々、納得した様子を見せた。
GOD州 アメリカエリア ニューヨーク ショッカースクール
北米大陸はGOD機関が統治するGOD州が設置されていた。
ニューヨークにショッカースクールのクラスでは木製の椅子と机が並び、そこに40人ほどの子供達が座って、教師達から伝えられる『正しい』世界のあり方を学んでいた。
若い女性の教師が黒板にチョークで『平等・平和・自由』と書いていく。
「この3つは昔、みんなのお父さんやお母さん達を騙していた悪い奴らがよく言っていた言葉です。でも偉大なる大首領様のおかげでこれらの言葉が本当は無意味だったことに気づくことができ、ようやく世界はまともになろうとしています」
教師は一息置くと続ける。
「世界の為に!ショッカーの為に!大首領様の為に!勉強して精一杯働きましょう!そうすればもっと楽しく、もっと幸せに暮らすことができるのです!
さぁ、こんな素晴らしい世界を作ってくださった大首領様に感謝を込めて敬礼しましょう」
教師に続くようにして子供達が立ち上がる。教師は右手を高く掲げると奇声を上げた。
「イーーッ!!」
「「「イーーッ!!」」」
勢いよくショッカー式敬礼をした子供達は純粋で真っ直ぐな笑みを浮かべていた。そしてそこには彼らが敬愛する偉大なる大首領様に対する忠誠心が現れていた。
ショッカーに管理されながらも世界は形を変えて確実に前進していた。
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