新世界の『日常』
[6/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
――――――――――――――――――――――――
テレビで裁判の模様を見ていた酔っ払い達は処刑室へ連行されていく女を半ば呆れた目で見ていた。
「はぁ、あんな奴らがまだいたのか」
「自業自得だな」
「にしてもスカッとするよな、この番組。今まで甘い汁吸ってた奴らが天誅に合うんだからな」
そう言うと彼らは酒を飲む手を早め、いつしか会話の内容も他愛もないものに変わった。
酔っ払い達の夜は続いた。
旧世界の勢力……いわゆる不穏分子は"新世界"から一掃されつつあった。
不穏分子達が苛烈な弾圧を受ける中、体制側であるショッカーの役人や重要人物は何をしてもお咎め無しなのかというとそうではない。
当然、政府の高級役人や大ショッカー党員、大企業の重役にもショッカーの追及の手は伸びる。脱税などの汚職に手を染めようものなら『反ショッカー行為罪』で逮捕されることになる。また、余りに悪質な場合はショッカー警察上層部がGOD秘密警察にバトンを渡し、秘密裏に対象者を殺害している。
事実、世界征服からこの4年間で数百万人もの人民が行方不明または不審死を遂げていた。そして実に、その4割が許容レベルを超えた不正や汚職に手を染めた政府高官や大ショッカー党員であった。GOD秘密警察が熱心に働いているのは言うまでもない。
…では残りの6割の人民はどこにいったのか?と言う話になるがこれに関しては全くもって謎だった。人身売買組織による拉致やただの放浪などにしては多すぎる数字にショッカー警察やGOD秘密警察でさえ、頭を抱えていた。
まるで神隠しのように忽然と姿を消すのである。
ただ、そんな行方不明者の最後の目撃場所は決まって試着室や水面などの"鏡のような対象の全身が映り込む場所"であり、中には『鏡の中に人間が引きずりこまれるのを見た』と言う極めて不可解な目撃情報もあった。このため、ショッカー警察はアンチショッカー同盟による拉致或いは強制勧誘の線で捜査を開始していた。
……それがアンチショッカー同盟によるものではなく、より凶悪な存在によるものだと判明するのはまだしばらく先のことである。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
一方、教育においては……。
世界中の学校はショッカースクールと名を変えさせられ、存続していた。
ショッカーは教育改革を行い、6歳以上の子供達のショッカースクールへの就学を義務化した。このショッカースクールでは人種・宗教・民族に関係なく、無料で教育を受けられることから民衆から高い支持を得ていた。
それまでは国ごとに学校の数がばらつきがあった。また豪州やアフリカなどの人種差別の強
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ