新世界の『日常』
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決は………死刑!!!」
「…嫌…嫌だ…死にたくない」
判決を聞いた被告人は恐怖の余り、膝から崩れ落ちた。
この番組は征服前の世界……いわゆる旧世界の権力者や著名人の汚職や悪行を追及する裁判の模様を生中継するという内容である。
人権侵害極まりないが、裁かれる被告人は何れも旧世界で民衆を騙し、権力の椅子にふんぞり返っていた悪人とされているためこの番組は人気を博し、人民達はショッカーの偉大さ・公平さに感謝しながら見ていた。
今回の裁判は旧日本政府の元検察庁高官に対して行われていた。彼は征服前、自身の息子の数々の犯罪行為を裏で揉み消していた。しかし征服後、その悪行が暴かれ、ショッカー警察によって拘束されたのだ。
彼には本来の罪に加えて、小さいものでは『窃盗罪』から大袈裟なものでは『世界の秩序を破壊しようとした罪』(略 『世界秩序破壊罪』)と、ありとあらゆる罪で起訴されていた。明らかにショッカーが後からでっち上げたものもあるが、それを人民が知る術はない。
「刑は即日、行われることになっている。シビレイジンによる電気椅子じゃ。
よかったな、すぐに息子に会えるぞ……地獄でな」
「そんな、嫌だァァ!お慈悲を!お慈悲をぉぉぉ!!」
2人組のアリコマンドに両脇を拘束された男はジタバタ暴れるがすぐに裁判所の隣にある処刑室に運ばれた。
……これだけを見ると旧世界の権力者達の自業自得のように感じるが、実際にはこの裁判では旧世界の有力者のみならず、ただ単に反ショッカー的であると判断されただけの人間も裁かれていた。
次に裁判場に連れてこられたのは若い女性だった。
魔神提督は検察官席に座る役人から読み上げられる短い告訴状の内容に耳を傾ける。
「被告人は1978年2月某日、GOD州にて白昼堂々、『世界の秩序を破壊しようとした罪』を犯しました。これは大変な重罪であります」
「うむ。では、陪審員。判決はどうする?」
「死刑!!!」
「死刑!!!」
「死刑!!!」
「死刑!!!」
「よし、判決は………死刑!!!」
魔人提督が死刑を宣告すると女は取り乱し始めた。
「何で!?私は何もしていない。世界の秩序を破壊しようとしたって言ってもただ街中で政府を批判するビラを配っただけでしょ?それだけなのに何で、死ななきゃいけないの!!大体さっきから何なのよ!?弁護人はどこ?こんなのリンチ裁判よ!」
臆面もなくしゃべり続ける女に対して魔人提督は怒り、裁判席から立ち上がると剣を抜いて言い放つ。
「黙れ、女!さあ、アリコマンド共よ。こやつを処刑場へ連れてゆけ」
「離せ!離しなさい!この独裁者の犬!!」
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