第百八十四話 馬封じその四
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「これでよしだな」
「うん、敵が過大評価されてね」
剛が久志に応えた。
「何か相手が一騎当千の猛者ばかりになっているけれど」
「気は引き締まったな」
「油断しているよりもね」
「まだ警戒している方がいいな」
「それが過度でもね」
それでもというのだ。
「その方がいいよ」
「戦で油断は一番まずいからな」
久志は進軍中馬上で考える顔になって述べた。
「何といっても」
「そう、だからね」
「今みたいな状況はいいな」
「そう、皆気を引き締めているから」
「それに越したことはないな」
「実際今度の敵は強いし」
その五万の敵はというのだ。
「だからね」
「油断したら駄目だな」
「本当に油断しかけていたし」
このことは事実だとだ、剛は話した。
「そのことを考えるとね」
「今の状況はいいな」
「うん、そしてね」
「戦場でな」
「戦おうね」
「そうしような、あと敵の騎兵はな」
久志はその彼等の話もした。
「俺達の騎兵の殆どよりずっと強いな」
「そうだよ、生まれた頃から馬に乗っている様な人達だから」
「馬に慣れていてな」
「そのうえで武器も扱ってきたから」
馬に乗ったままでだ。
「遊牧民程じゃなくてもね」
「かなりのものだな」
「だからね」
「強いな」
「うん、相当にね」
「しかも馬の体格もよくてか」
「重装騎兵だしね」
このこともあってというのだ。
「それでね」
「強いんだな」
「このことは頭にいれておこうね」
「それじゃあな」
「そして」
そのうえでというのだ。
「戦っていこう」
「ああ、敵は強い。そのことをな」
「念頭に置いてね」
「戦おう」
「そうだな、あとな」
久志はここでこんなことを言った。
「この辺りに来て実感したけれどな」
「どうしたのかな」
「いや、帝国のワインもどれも美味いけれどな」
「この辺りのワインもだね」
「美味いな」
「それはそうだね」
剛は久志のその言葉にも頷いた。
「実際にね」
「そうだよな」
「特に貴腐ワインがね」
「あれが美味いな」
「そうだよね」
「病みつきになるな」
「じゃあ今夜も飲むね」
剛は久志に問うた。
「それでワインは大いに売るね」
「ああ、いいものはやっぱりな」
何といってもとだ、久志は剛に答えた。
「大いに作ってな」
「売ることだね」
「質は落とさないでな」
このことは絶対にだった。
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