始まりから夏休みまで
サーヴァントと新たな影の話
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勿論、アビゲイルだ。
以前場所は真っ黒な湖のある外だったが今回は室内だ。
所狭しと本棚が並んでいるからここは図書館だろう。
「申し訳ないけど…お栄ちゃんと縁は切れない。」
「そう…もう後戻り出来ないのよ?あなたはこれから大いなる運命に巻き込まれる。」
「大いなる…運命?」
アビゲイルがゆっくりと手を上げ、僕の右手を指さす。
ロボに噛み砕かれ、切断寸前までいった腕だ。
「そこ。」
「?」
「部分的に弱まった部分に、"彼"が入り込もうとしている。」
「彼?彼って?」
「黄衣の王…邪悪の皇太子、呼び方は様々だけれど…ともかくあなたは…舞さんは"彼"と関わってはいけないの。」
また"黄衣の王"というワードが出てくる。
だからそれは誰なんだ?正体は?目的は?あれこれ聞きたいことはたくさんある。
「だから北斎とは縁を切れって言ったの。"彼"はおそらく、北斎の力に引き寄せられてきたんだから。」
「分からないよ。彼とか黄衣の王とか。それにその言い方…まるでお栄ちゃんが悪いみたいじゃないか!」
アビゲイルの言い方に若干不快感を覚え、やや強めに言ってしまう。
相手は小さな女の子なのに。
「ねぇ舞さん、お願い。これが最後の警告よ。」
「言っておくけど…僕はお栄ちゃんと縁は切らないよ。」
「ええ、分かってる。それは言っても聞いてくれないことって理解したから。でも…」
アビゲイルは一息置いてから、言った。
「よく聞いて。"黄衣の王"の誘いは絶対に断ること。そしてこれから先…きっと"這いよる混沌"があなたの住む街にやってくる。怪しい人には気をつけて、絶対にかかわらないで。それだけは約束して頂戴。」
「…。」
分からないけれど、いつか来るんだろう。
黙って頷く。
「ところで…アビゲイル。」
「…何かしら」
用を済ませ、踵を返してどこかへ帰ろうとした彼女に僕は質問する。
「どうして僕を…助けるの?それともサーヴァントが召喚された理由と…何か関係があるの?」
「…。」
彼女は何も答えない。
口を開いたとしても…
「今のあなたにとっては…知る必要なんてないわ。いえ、知らない方がいいもの。」
そういい、空間に開いた"何か"を通り、アビゲイルは消えてしまった。
「知らない方が…いい?」
サーヴァントの召喚された理由、
黄衣の王…這いよる混沌
分からないことだらけだ、
ただ漠然に注意しろだなんて言われても、どうにもならない。
最初に言った、お栄ちゃんとは縁を切れとはどういう意味だったのか?
大いなる運命?それってなんだ?
僕はこれから…どうなる?
そう考えているのも束の間、辺りが白い光に包まれる。
そろそろ起きなきゃ。今日は病院に行く日
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