暁 〜小説投稿サイト〜
MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第84話 明日への挑戦4/4
[6/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
それを紙一重でかわしてしまったのだ。
 そして、その好機を逃さない依姫ではなかった。彼女は攻撃により前に出た勇美に対して、カウンターの要領で自らの光の拳を叩き込もうとする。
 だが、勇美はそれを咄嗟にもう片方の鉤爪で防いだのである。
「ぐぅっ……」
 しかし、防ぎはしたもののその威力の衝撃は確実に勇美に届いたのだった。その勢いに勇美はくぐもった声を出す。
 それでも勇美はただ攻撃に翻弄される事はなかったのだ。彼女はしたたかにもその威力を逆に利用して、またしても依姫との距離を取ったのである。
 これで勇美は追撃を免れる事に辛うじて成功する。だが、今の彼女の方が圧倒的に不利である事は明白なのだ。
「はあ……はあ……」
 彼女は息を荒げて辛そうにしていた。無理もないだろう。彼女はこの勝負では最初から大技を出す羽目になり、その後も温存をする余裕は決してなかったのだから。
 加えて今の勝負の方法である。いくら依姫が体術は本業ではないとはいえ、抜かりない修行によりその肉体は洗練されているのだ。対して勇美は神降ろしの力を借りるようになってからはその肉体も鍛えられる機会に恵まれたが、それまではその機会に恵まれなかったのだから。
 だから、勇美がここで負けようとも誰も馬鹿にはしないだろう。特に彼女とこうして戦った依姫はである。
「勇美、それ以上は無理よ。貴方はここまでよくやったのだから恥じる事はないわ」
 故に、依姫は勇美を気遣い、この勝負で最後の労いの言葉を掛けたのだ。後はゆっくり休むのがいい、そう想いを込めて。
 だが、当の勇美はそれには納得しなかった。
「いいえ、私は負けたくないんですよ──特に依姫さんのような素晴らしい人との勝負にはですね!」
「!」
 その想いの籠った勇美の言葉には、さすがの依姫でさえも驚きを覚えてしまったのだ。そんな依姫を前にして、勇美は口を開く。
「『石凝姥命』に『天照大神』よ、この勝負最後の仕事の為の力を私に貸して下さい」
「何ですって!?」
 この状況で更に神の力を借りるのか。その事に依姫は更に驚愕してしまった。
 対して、勇美は今相当無茶をしていると自分でも分かるのであった。何せエネルギーの消費が半端ではないからだ。
 だが、今この貴重な戦いくらいはこうして無茶をしても罰は当たらないだろうと思っていた。正真正銘神の力を使って来た勇美は彼等から彼女を咎める意思を感じない事からもそう実感していた。
 そして、今の勇美に必要な三柱の神の力は備わったのだ。それにより生み出された力の名を勇美は刻む。
「【神拳「明日へ貫く真なる一突き」】!!」
 火雷神の剛の力に、天照大神の太陽の輝き、それを石凝姥命のやたの鏡の力で増幅する。
 それらの有り余るありったけの力を携え、勇美はその腕に全てを託して依姫へと打
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ