第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第84話 明日への挑戦4/4
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士であり、その身は洗練されている訳であるが、体術は専門ではない。勇美に付け入る隙があるとすればそこになるだろう。
そして、勇美は意を決する事とする。泣いても笑ってもここから勝負が決まるのだ。だが、勇美は負けにいくつもりは毛頭ないが。
依姫に対して勇美も力を借りる神を選び、口にする。
「『火雷神』よ、再び私に力を貸して下さい」
その勇美の意思は切実であった。これから行う勝負には、揺るぎない力が必要なのだから。
勇美も両手を広げて、神の力を受け止める姿勢を見せる。だが、ここは勇美なのである。当然依姫とは様相が違った。
彼女の両手には神力が集まっていった。しかし、当然それだけでは終わらないのである。
集まる神力に加えて、金属のパーツも集約していったのだった。そして、彼女の両手には鋼の鉤爪が備えつけられたのである。
その様相を見ながら依姫は懐かしさを感じていた。そう、勇美がルーミアに襲われていたのを助けた時と似た装備が施されていったのだから。
その時の勇美には自らが生み出す機械の動力を確保出来ずに幻想郷の住人と渡り合えない事に歯噛みしていたものだった。
だが、あの時とは違う事は依姫はよく分かっているのだった。
今では勇美は依姫の神降ろしを借りて戦えるようになり、勇美自身の能力も向上された事は火を見るよりも明らかなのだから。
あの頃を思い返して今を見た事で、依姫程の者が思わず涙ぐみそうになるのだった。
だが、勝負は非情なのだ。幾ら勇美がこうして高みに登ろうとも、だからといって依姫は勝ちを譲る気はないのである。
「……準備はいいようね」
「ええ、いつでもいけますよ」
そう言い合う二人の間には、言葉に言い表せないような空気が存在していたのだった。この独特の感触は今この場にいる二人にしか分からないだろう。
そして……動いたのは二人同時であった。どちらからともなく、互いに踏み込みを入れたのである。
「はあっ!」
「【力拳「猛る魔龍の鉤爪」】!!」
気合いの声を入れる依姫に対して、ここで勇美は身に纏った力の名を口にしたのだ。
その瞬間、両者の拳と拳、エネルギーとエネルギーがぶつかり合い、激しく爆ぜた。それにより生じた衝撃は、まるで辺りを吹き飛ばさんばかりの勢いであった。
「くぅっ……」
「っ……」
その衝撃により勇美は元より、依姫でさえも身じろき退け反ったのである。そして再び両者は距離を置き合う。
だが、ここで引いた方が押されるのは明白である。故に二人は再度相手にぶつかり合いにいったのだ。
今度は勇美から仕掛けたのである。その腕に纏った機械仕掛けの武装から神の炎が猛狂う。普通の炎ではないから使用者の勇美にはダメージはない。
その燃え盛る拳の一撃を依姫目掛けて放つ勇美。だが、相手は容易く
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