第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第84話 明日への挑戦4/4
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が、今度はそれがピタリと収まり、逆にその破壊の爪跡がみるみるうちに元に戻っていったのだった。
それは、まるでビデオの逆再生の如くであった。抉られた地面は全て再び繋ぎ合わされ、そこに生えていた草々までもがすっかり元通りに復元していったのである。
その事により依姫は宙でバランスを取り直して、無事に復元された地面へと着地出来たのだった。そして、何故そのような事態が起こったのか、おおよその検討を付けながら視線を前方へと向けた。
そして、案の定な事態になっていたと依姫は思うのだった。
それは、勇美が顕現させた鋼の巨人の姿が、それを保てずに徐々に雲散している所なのであった。巨大なその佇まいが砕けながらきらびやかに散っていく様は寧ろ潔ささえ感じられた。
「やっぱりだいだらぼっち様の力なんて代物は、今の私じゃこれ位の間しか使いこなせないって事だよね〜」
そうざっくらばんと勇美は、清々しくのたまっていた。だが、依姫はそれはとんでもない事だと言及する。
「いえ、あれ程の力を短時間とはいえ使いこなす、それだけでも大それた事よ。勇美……、貴方はそこまで成長したのですね」
それが依姫の嘘偽りない、勇美への素直な感想であった。現に依姫は先程までの猛攻により、神降ろしの本領の要となる刀を弾き飛ばされてしまったのだから。
勇美がここまで自分に食い付いてくれた事に、依姫は感慨深さを胸の底から感じるのだった。このまま勇美の勝利としても良いと今なら思えるのだ。
だが、勝負というのは厳格なもの。故に依姫はここで心を鬼にするのであった。
「ですが……、これで勝負が着いたとは思わない事ね」
その重みのある依姫の発言に、勇美は固唾を飲んだ。今の言葉は他の誰が言っても彼女程の説得力は生み出されないだろうと勇美はひしひしと感じ取っていた。
「確かに刀を失った私は些か不利になったでしょう。ですが、それは切り札を使い切った貴方とて同じ事ですよ。それに、私にはまだ『切り札』があるのですよ」
「はい……」
依姫の言に、勇美はそう答える事しか出来なかったのだ。反論の余地はこれっぽっちもなかったからである。
「では、最後の仕上げと行きましょう……お互いにね」
「はい」
依姫にそう言われて勇美も緊張に包まれながらそう答えた。ここからが正念場となる事が分かるからであった。
まずは依姫の番である。彼女は今正にこの場に相応しい神へと呼び掛ける。
「繁栄の神『天照大神』よ、今こそその力を我に!」
そう言って依姫は両手を広げて、大いなる神の加護をその身で受け止めようとするのであった。
すると、依姫の両手が眩く輝いてきた。それは正に陽の光を切り取り、その手に纏っているかのようである。
「【陽拳「一撃に込める神の拳」】……これで私の準備は整ったわ」
依姫は剣
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