第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第83話 明日への挑戦3/4
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潰すだけじゃなくて電撃も放つこれを依姫さんはかわせますか?」
鉄球が帯び纏う電流は最高潮となる。この物理とエネルギーを兼ね備えた強力な武器で攻撃し続ければ、さすがの依姫でも突破出来るだろうと勇美は興奮気味になっていた。
だが、勇美は気が流行る余りに状況を的確に把握しきれていなかったようだ。
「その一気に勝負に持ち掛けようとする姿勢は良いです。──しかし、状況というものはしっかり把握しないといけないものよ」
そう依姫に言われ、そして今の状況の確認をした勇美はハッとなってしまった。
依姫の手には、再び刀が握られていたのだった。彼女の神降ろしの補助をするその重要な代物が今彼女の手にはあったのだ。
「あっ!」
思わず勇美は驚愕してしまう。今までは依姫がそれを地に刺したまま戦っていたから付け入る隙があったというのに、これで依姫の布陣は元通りになってしまったというものだ。
「いつの間に……」
その答えは自分でも薄々察する事が出来る勇美であったが、敢えてそれを依姫に確認するのだった。
「それは勇美も分かっているでしょう……でも教えといてあげるわ」
そう言うと、依姫は自分の足元の近くへ目配せしたのだった。
そこには、鉄球で抉られた地面が存在していたのだった。それが意味する事は一つだろう。
「……参りました。私とブラックカイザーの攻撃を誘導したと言う事ですね」
そう、依姫は防壁を破り万を持して直接自分へと向けられた攻撃を利用したという訳である。要は鉄球の衝撃を利用し、刀が地面から抜かれて宙を舞いそれを依姫は巧みにキャッチする……そうなるように勇美の攻撃を誘ったという事だ。
言葉で説明するのは簡単であるが、それを実戦でこなしてしまうのは並大抵の事ではないだろう。それを依姫はやってのけたのであった。
──やっぱりこの人は凄い。そう勇美は改めて実感する。そして思う、こんな人と戦えて自分はとても光栄だと。
それは、こうして戦えただけで意味がある事であった。だが、勇美はここで気を引き締め直した。
いつまでもそうして浮かれてはいられないと。何故ならこの勝負、勇美は勝つつもりで挑んでいるのだから。そして、その事は依姫も望んでいるのだから。
「勇美、いい目をしているわね」
そんな姿勢の勇美を、依姫は冷徹な態度でいながらも物腰柔らかく称賛したのであった。それに対して勇美も答える。
「はい、この勝負、負けませんから」
「言ってくれるわね。確かに勝負は後半に入ったけど、ここからが本番よ」
「はい」
依姫の忠告に勇美は素直に返事をする。その通りなのだ、依姫に対して順調に戦いを進めているからといってそこで油断するなど愚の骨頂もいい所なのだから。
そうして二人の間に程よい緊張が走ると、そこから勝負は再開される。
「それで
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