第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第83話 明日への挑戦3/4
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そっちの方が明らかに現実的な手段よ」
依姫は頭を抱えて言った。無意味に卑猥な行為なんかよりも、もっと有効な事なのにと。
彼女がそう思っている間にも、勇美はお目当ての物を引き当てたようだ。そして、その物の名を口にする。
「出番だよ、アバドンズジェネレーター♪」
そう、勇美を一度は圧倒し、今では彼女の好敵手となっている妖怪、皇跳流から譲り受けた彼女の力の籠められたアイテムなのであった。
その紫との戦いでも活躍したそのアイテムをここで勇美は万を持して使う事に決めたのである。
「受け取って、マッくん!」
勇美はそう自分の相棒に呼び掛けながら、彼に向かってその濃縮エネルギーの塊を与えたのだ。それを見事に彼は受け取り、その瞬間に眩い光が辺りを支配した。
「いよいよ来るわね……」
依姫は呟きながら、その存在の到来を待ちわびたのである。
そしてとうとう光は止み、そこに勇美の切り札が顕現していたのだった。──それは機械仕掛けの黒騎士、ブラックカイザーである。跳流の妖力を受けて一時的に進化したマックスの姿だ。
彼はその屈強な鋼の肉体を行使して、非力な人間の少女である勇美に成り代わり膂力による戦法を取る事が出来るのだ。当然今回も勇美はそれを存分に活かす所存でいた。
「ブラックカイザー、今回もお世話になるね。これは私にとっても負けられない戦いだから力を貸してね」
勇美のその切実な呼び掛けに応えるかのように彼は勇ましく駆動音を立てたのだった。それが特に今は勇美にとって、とても頼もしく思えた。
それだけで勇美には自分の名前に恥じない『勇気』がみなぎってくるかのようであった。だから、勇美は後は彼を信じて、そして自分を信じて戦えば良いのである。
その想いを胸に、勇美は次なる神々の力を借りるべく呼び掛ける。
「『火雷神』に『金山彦命』よ、その力を私に!」
勇美の呼び掛けに、その二柱の神々は応えていった。それにより勇美の前に新たなる力が示される。
その力は、大きな鉄の球体であった。当然そのような重量溢れる物は勇美には扱えない。
そこで万を持してブラックカイザーの出番なのである。持ち手から鎖で繋がれたその鉄球を、彼は掴み上げて自分の手元にたぐり寄せたのだ。
その重量武器を手にした彼は、どこか得意気に依姫を見据えているかのようであった。まるで、我が主が選んだこの力を防げるかと言わんばかりである。
そこで、当の主である勇美はこの力の名を宣言する。
「【雷槌「ミョルニルハンマー」】!」
その名は日本とは別の神話の雷神が使う槌を冠していた。そして、その名を背負うかのように鉄の塊は勢い良く打ち出されたのである。
目指す場所は他ならぬ、依姫が展開した鏡の防壁である。その狙いは寸分違わずに的確に標的を捉えたのだった。
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