第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第82話 明日への挑戦2/4
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やむなく依姫の思うつぼになるような攻撃を続けていってしまう勇美。そんな彼女にも依姫は容赦する事はなかった。
「【魔鏡「磨き抜かれた防衛の陣」】!」
そのスペル宣言により、依姫の周りに無数の鏡状の防壁が形成されたのである。そして、勇美にはその展開を覆す事は出来なかったのである。
勇美の放った数多の光線は全てその防壁へと飲み込まれていった。そして、予想通りの事態が起こる。
光線を飲み込んだ防壁は無論といったようにそれを反射させて弾き返したのである。
当然それだけでは終わる筈もなく、弾き返された光線は別の鏡へと受け止められ……後はご察しの通り乱反射をしていったのだった。『乱符』の名を関した攻撃が相手に乱反射の反撃を許してしまったのは皮肉であろう。
しかも、勇美が放った光線は当然一本ではなかったのだ。それが何を意味するか分からない程勇美は愚者ではなかった。
「あきゃああああっ!!」
つんざくような悲鳴をあげる勇美。無理もないだろう、何といっても自分の放った無数のレーザーにその身を撃ち抜かれたのだから。
「くうっ……」
その元は自分のものだった猛攻を浴びた勇美は、呻きながら弾かれて地面に倒れ込んだのだった。
あどけない少女をこんな目に遭わせるのは些か酷かとも依姫は思うが、彼女は敢えて心を鬼にする。何故ならこれは勇美と依姫が真剣勝負出来るまたとない機会だからだ。
そう、依姫には思う所があるのだった。元々彼女は月に住まう者、それもそこの守護者なのだ。──いつまでも地上にいて勇美の傍にいられる訳ではないのだ。
だから、これが勇美と本気と本気のぶつけ合いの数少ないチャンスとなるだろう。だから依姫は妥協しなかったのだった。
それに……この子には下手に情けを掛ける事はナンセンスだという事実を、すぐに依姫は実感する流れとなる。
尚も倒れている勇美。だが、どこかその様相には違和感があったのだ。まるで投げ出された事で強調されている短い和服から覗く生足をどこかアピールしている、そんな感じがした。
そして、依姫はそれが断じて気のせいではないと確信するのだった。何故なら勇美はその短い和服の裾に今正に手を……。
「言っとくけど……パンツ脱ぐのは断じて禁止よ!」
そう依姫は元々鋭い切れ長の瞳に一層重みを増しながら、ドスを聞かせた声で勇美に忠告したのだった。
「はうっ……」
その圧倒的な戦慄に勇美は完全に気押されてそれ以上の事をするのを止めたのである。
「全くもう……」
辛うじて一大事に至るのを事前に阻止した依姫は、安堵の溜め息を吐いた。
これだから勇美に気を許してはいけないのだ。その事を依姫は再度頭に焼き付けるのだった。
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