第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第82話 明日への挑戦2/4
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論普段の依姫ならその状況にも対応出来ていただろう。しかし、今は……。
(私はこの勝負において一度に一柱の神からしか力を借りれない、そういう事ね)
そう、普段の依姫であったなら天津甕星以外の神の力を借りて打破していただろう。だが、今は月で用いた神々を一柱ずつ借りるという流れを組んでいるのだ。
故に依姫はこの『天津甕星』使用形態に置いて『詰み』の状態となってしまったのだった。
(ここまで利用してくるとはね……)
そう依姫は勇美の勝負への執念を心の中で称賛するのであった。例えせせこましいと言われかねない、勇美の勝負の条件を利用する様に依姫は素直に感服するのだった。
「この場は勇美に華を持たせるとするわ」
言うと依姫は自ら刀を手離すべく、地面へとその刃を突き立てたのである。すると豪勢で煌びやかな形態を取っていた西洋剣は、元の刀の姿へと戻っていたのだ。
「依姫さん?」
刀は侍の魂である。それを自ら手離すとは武士の恥であると勇美も分かっているからこそ、その依姫の行動には驚愕したのである。
だが、同時に好機だとも思った。依姫の屈強な護りの要である刀が彼女の手から離れた今なら、絶好の攻める機会ではないか。
そう意気込んだ勇美は、そのまま先程までの光線乱射の猛攻を続けるのだった。
「よし、このまま依姫さんにダイレクトアタック!」
まるでカードゲームの如くのたまう勇美であった。依姫とは真剣勝負ではあるが、遊び心も決して忘れてはいなかったのだった。
その事を依姫は微笑ましく思いながらクスリと笑ったのである。だが、その雅やかな笑みは一瞬であり、すぐにその性質を不敵なものへと変貌させる。
「好機を逃さないその姿勢は見事ですが、焦ってはいけませんよ。私が終えたのはあくまで『天津甕星』の加護なのですから」
「!!」
その言葉の意味を理解出来ない今の勇美ではなかった。彼女はそれを理解すると、高揚していた気持ちが一気に冷却されたかのようにハッとなっとしまった。
「しまっ……」
そう勇美が言おうとした時には既に遅かったのである。そう、依姫は次なる神の力を行使しようとしていたのだった。しかも、それは……。
「『石凝姥命』よ!」
その神の名を呼ぶ依姫の側に、ゆったりとした衣服を身に纏う賢そうな女性の姿が顕現した。それを確認した依姫は更なる呼び掛けを施していくのだった。
「手に持つ『やたの鏡』を更なる姿を我の前に示したまえ!」
両手を広げながらそう依姫は威風堂々と言い切った。そんな依姫に応えるべく、石凝姥命は手に持ったやたの鏡を高々と天に掲げたのである。
その様子は完全に魔理沙との勝負にピリオドを打った時のものとは逸脱していた。何が起こるのかと気が気でなくなった勇美であったが、今の彼女の攻撃はすぐには止められなかったのである
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