暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
最終章:無限の可能性
第270話「遍く世界の盾となれ」
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がれたが、それで十分だった。

「っ……!」

 頭上からの踵落とし。それを弾かれる。
 椿はその反動を利用し、大きく飛び退く。
 同時に花の量を増やし、目晦ましとする。

「―――そこ!」

   ―――“一矢神滅”

 そして、間合いを離した所で、頭から落下しつつ弓矢を展開。
 神力を込めた神殺しの矢を放った。

「ぉ、ぉおおおおおおおおっ!!」

 しかし、そこに圧縮された理力がぶつけられた。
 戦闘にも長けた神なだけあり、完全に矢の穂先を捉えられた。
 花による目晦まし状態だというのに、全く意に介していない。

「っ―――」

 渾身の一矢が相殺されたのを椿も見ていた。
 矢が弾け飛んだのを見て、表情が強張る。
 ……そして。

「残念だった、な―――?」

   ―――“一矢神滅”

 神の後頭部を、神殺しの矢が射抜いた。

「真正面から倒す訳ないでしょう。冗談じゃないわ」

 神の()()から、椿の声が響く。

「なに、が……!?」

 薄れる意識の中、神は正面にあった魔法陣に気づく。
 そこは、先ほどまで椿がいた場所……その落下地点だ。
 椿は、その魔法陣を使って転移し、神の背後に回っていたのだ。

「いつの、間に……」

「さっき、攻撃を相殺した時よ。元々、なけなしの魔力しかなかったから、気づけなかったでしょう?」

 椿の回答を聞き、神はそのまま意識を落とした。
 先ほどの矢と、今放たれた椿のトドメが効いたのだろう。
 そのまま“領域”は砕け、神の体は霧散した。

「平行世界の力を集めて、ようやく戦える領域……か。“意志”で補えるとはいえ、相変わらずとんでもない力ね」

 周囲を見渡せば、戦闘の余波で荒れ果てた木々と大地が目に入る。
 極力肉弾戦ばかりだったが、それでもここまで被害が出ているのだ。

「そっちも、終わったみたいだね」

「とこよ、それに紫陽も。そっちも終わってたのね」

 そんな椿の下へ、とこよと紫陽がやってくる。
 二人も“天使”達を倒してきたようだ。

「まぁ、貴女達なら勝っていて当然ね」

「さすがに強かったけどね」

「あたし達でも、なかなか苦戦したよ」

 二人とはいえ、相手も複数だ。
 実際、かなり苦戦したようで、ボロボロな服装になっていた。

「……気が付けば、こっちの優勢ね」

「それぞれの戦いに勝ったみたいだからね」

「世界の“意志”からの支援がなけりゃ、最低でももっと長引いていただろうね」

 見上げれば、既に敵の姿がほとんどなくなっていた。
 世界の“意志”による支援が余程効いていたのだろう。
 あれほど苦戦した相手をものの見事に駆
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