102 標的は名古屋
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た。その事は母にも話したが、母は三河口ほどきつく叱りはしなかった。
「確かにそれは大変な失敗ね。でもさりちゃんが持ってる護符もかよ子の杖と同じくらい強力な筈だからきっとさりちゃんも対応できるわよ」
「う、うん・・・」
かよ子はその事で精神が病み、合唱の練習をせずに寝てしまった。そして今に至る。
(私のせいで、護符が盗られたら・・・)
レバノンの日本赤軍本部。房子は見つからずの護符の情報について早く手にしたかった。
「総長」
日高が入って来た。
「あら、敏彦、どうしたの?」
「静岡の清水に派遣させた蘇我氏の者を連れてきました」
二人の飛鳥時代の朝廷の役人のような人物が房子の部屋に入室した。
「貴方達は稲目と馬子ね」
「はい」
「蝦夷と入鹿は?」
「申し訳ございませぬ。杖の所有者並びに異世界の道具の持ち主達に倒されました」
「何ですって!?」
「はい、あと一歩で杖を奪ったところで別の者に追い打ちを喰らいました。ですが・・・」
馬子が続ける。
「入鹿は見事に杖の所有者から護符の場所を聞きだす事に成功しました」
稲目が続ける。
「場所は、ナゴヤという所にございます」
「名古屋ね・・・。貴方達がこの世に生きていた頃、『尾張』と呼ばれていた所よ」
「ああ、さようでございますか」
「蝦夷と入鹿を失った事は辛いけど、これ以上の捜索行為は無用ね。敏彦、日本全国の捜索をしている者達に攻撃を辞めて引き上げさせなさい」
「了解しました。皆にも伝えます」
敏彦、稲目、そして馬子は退室した。
「護符は名古屋ね・・・」
房子は目的達成に少し近づいたと思い、微笑んだ。
かよ子は昼間だというのにベッドで横になっていた。そんな時、母が入って来た。
「かよ子。まだ落ち込んでるの?」
「いや、その・・・」
「隣の健ちゃんが入って来たわよ」
「え?」
三河口が入って来た。
「かよちゃん、この前は怒鳴ってごめんな」
「う、うん・・・。私のおっちょこちょいが原因で護符の場所を知られちゃったんだし・・・」
「でも、その分、異世界の敵があの後、各地で暴れまわる事はなくなったんだ。その事については安心していいが、俺の従姉に何かあったら必ず助けに行こう」
「うん、そうするよ・・・!!」
「それより、合唱コンクールの練習はいいのか?」
「あ、うん・・・」
かよ子はこの前の自分の失態を気にして合唱コンクールの事に身が入らなくなっていた事を思い出した。
「杉山君も心配するぞ」
「あ、う、うん・・・」
かよ子は好きな男子の名前を出されて我に返った。
「頑張るよ!」
「元気になってよかった。じゃあな」
三河口は部屋から出て行った。
(そうだよね・・・。合唱コンクール、頑張んなくっちゃ!!)
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