第四百四十七話 妖怪の森からその六
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「そして戦うことだけが目的なのがな」
「違うね」
「そのこともな」
「ううん、そう思うと残念な種族だね」
「他の種族や組織の怪人達もそうなのよね」
ろくろ首はアデルに尋ねた、やはり手にはファイルがある。
「戦う為にスサノオに生み出された」
「そうした連中だ」
「戦うだけね」
「言うならな」
「そんなの真っ平御免だよ」
ろくろ首は目を顰めさせて言った。
「戦いしかないなんてね」
「戦うよりもだな」
「楽しく遊んで暮らしたいよ」
「そう思うのが当然だ」
「普通なんだね」
「そうだ」
アデルはろくろ首に真面目な顔で答えた。
「人間はそこで生きる為に働く必要もあるが」
「まあそれはそれでだね」
「置いておいてだ」
「兎に角楽しく遊んで暮らしたい」
「そう思うことがだ」
まさにというのだ。
「当然のことでだ」
「普通なんだね」
「そういうことだ」
「それがないのがスサノオが生み出した種族か」
たんころりんはこのことを悟った。
「難儀なことだな」
「けれどそこで楽しみとかを知ったら」
たくろう火は画材眼魔と音符眼魔を見て話した。
「貴方達みたいにだね」
「そこから離れられるなり」
「戦いから自由になるである」
その眼魔達が答えた。
「吾輩達今は人間の姿にもなれるである」
「そうして暮らしているなり」
「音楽活動に邁進しているである」
「絵を描いて楽しんでいるなり」
「二人共天空寺にいるから」
シブヤも二人のことを話す。
「平和に暮らしているよ」
「というか二人共凄い芸術的才能だから」
ナリタも妖怪達に話す。
「素晴らしいよ」
「そうだよね」
「正直おっさんよりずっと役に立ってるぜ」
ここでまたユルセンが言ってきた、飛び回って話すその姿は外見もあって妖怪と言われても頷ける程だ。
「本当にな」
「そこでまたわしか」
「おっさん修行もしねえしな」
その仙人にも言うユルセンだった。
「大飯ばっか喰らって寝てな」
「うん、この人はね」
「見事に何もしないからね」
シブヤとナリタも話した。
「修行すらもね」
「それで本当によく食べるし」
「寝てばかりで」
「おまけにいびき凄いし」
「最悪ね」
アニエスは二人の言葉に眉を顰めさせた。
「それって」
「そうね、いいところがないわね」
アデルもこう言った。
「いびきはまだね」
「許せてもね」
「何もしないでそれだと」
「最悪ね」
「またわしはそう言われるのか」
仙人もいい加減怒りだした。
「どの世界でもこう言われるな」
「皆そう思うってことだろ」
ユルセンの返事は容赦のないものだった。
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