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オズの木挽きの馬
第四幕その七

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「幾らでも食べられるね」
「これもオズの国ですね」
 恵梨香は弟さんにも応えました。
「本当に」
「そうですね」
「つまり幾らでも食べられるってことだね」
 取った先から新しいものが出るならというのです。
「つまりは」
「そうですよね」
「じゃあ僕達は今はね」
「美味しい柿をですね」
「食べようね」
「そうしましょう」
「いや、日本に来てからはじめて食べた果物だけれど」 
 カルロスも言います。
「これがまた美味しいんだよね」
「ええ、日本の素敵な食べものの一つよ」 
 ナターシャもいつものクールな微笑みではなくにこりとしています。
「柿は」
「しかも栄養が凄くあるんだよね」 
 神宝はこのことを言いました。
「柿って」
「美味しくて栄養があるなんてね」
 ジョージも食べて笑顔になっています。
「最高だよね」
「ええ、だから私も柿が好きなの」
 恵梨香は四人にも応えました。
「秋になると柿と梨をね」
「いつも食べてるんだね」
「おやつには」
「そうしているんだね」
「秋になると」
「そうなの、果物全般好きだけれど」
 その中でもというのです。
「秋は柿ね」
「そうなんだね、そういえばね」 
 木挽きの馬がここでこう言いました。
「柿は昔オズの国にはなかったね」
「日系人がいなかったからよね」
「そう、だからね」
 それでとです、木挽きの馬は恵梨香に答えました。
「なかったんだよ」
「そうよね」
「他にもね」
「色々なかったのね」
「お寿司も天麩羅もおうどんもお好み焼きもなくて」
 そしてというのです。
「柿もね」
「なかったのね」
「うん、河豚だってね」
「食べなかったのね」
「そうだよ、すき焼きだってね」
「なかったのよね」
「そうだよ、随分変わったよ」
 こう恵梨香にお話しました。
「オズの国もね、中国だって入ったしね」
「日本以外に」
「そう、中華料理も食べられる様になったし」
「中華街もある様になったわね」
「うん、そこもね」
「変わったのね」
「オズの国はどんどん賑やかになって」 
 そしてというのです。
「これからもね」
「賑やかになっていくわね」
「そうなっていくよ」
 まさにというのです。
「この国はね」
「どんどん変わっていく国でもあるわね」
「しかもいい方向にね」
「皆が幸せになれる」
「そうなっていくんだよ」
「お侍もお公家さんも陰陽師もいる様になって」
 今度はガラスの猫が言います。
「そして忍者もね」
「同じよね」
「そうよ」
「ドロシーさんがはじめてオズの国に来られた時は」
「そう、本当にね」
 それこそというのです。
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