第99話『予選D』
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
が決意を固めていた、その瞬間だった。
『ブルァッ!!』
「なにっ……きゃあっ!?」
突如として茂みから現れた猪型のモンスターに、緋翼は弾き飛ばされた。
ちなみに猪型とは言っても、その大きさは緋翼の身長を超えるほどの巨大猪だ。当然、その突進の威力は馬鹿にならない。
緋翼は咄嗟に刀でガードしていたとはいえ、衝撃までは抑えられなかった。
「あっぶな……何よこいつ……」
地面で受け身をとりながら、緋翼がそう零す。まるで車にでも轢かれた気分だが、幸い怪我には至っていない。まだ動ける。
「ようやく歯応えがありそうな奴が出てきた訳ね」
見ただけでわかる。このモンスターは今までの雑魚とは訳が違う。ポイントで言えば、恐らく7、8Ptくらいか。挑みたいギリギリライン。
「なら、やるしかないじゃない」
安全策でいくのであればここは退くのが妥当だが、今回取るのは強硬策。すなわち多少の無理は許容範囲なのだ。
緋翼は刀を構え、モンスターと対峙する。
このモンスターは、緋翼が焔を使うと知っていながら襲ってくるほどの胆力の持ち主だ。侮ることはできない。少しでも隙を晒せば、やられるのはこちら側だ。ここは慎重に──
「ってなる訳ないでしょ! "紅蓮斬"っ!」
緋翼は刀を振り払い、焔の斬撃を飛ばす。それは空気を焦がしながら、一直線にモンスターの元へと向かっていった。
ただでさえ時間が限られているのだ。慎重に戦ってなんていられるものか。そう思って放ったのだが、
『ブルゥ!』
「弾かれた!?」
どうやらこのモンスターは一筋縄ではいかないらしく、なんと緋翼の十八番を象牙のような牙で軽々と防いだのだった。
そして、今度はこちらの番だと言わんばかりに、猛スピードで緋翼へ突進してくる。
「やばっ!?」
それを見て、緋翼は咄嗟に横へと飛び込む。その直後、彼女の数cm横をモンスターは通り過ぎていった。
まさに間一髪。さすがに突然曲がることはできないらしく、モンスターは木の幹へとぶつかってようやく止まる。──木の幹はへし折れた。
「あんなのまともに喰らったら、普通に死ぬわよ……」
今の突進を見て察してしまった。奴の最初の突進は全力ではなかったのだ。恐らく、奴からすればちょっと小突いた程度ではなかろうか。でなければ、刀でガードしただけで無傷なんてありえない。
「これは、想像以上にヤバいかも……」
全身から血の気が引いていくのを感じながらも、緋翼は再び刀を構える。
ヤバいとわかっていても、ここで逃げる訳にはいかない。いや、逃げたくないのだ。負けず嫌いの血も騒ぐし、逃げたと知られたら、後で"あいつ"
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ