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機動6課副部隊長の憂鬱な日々(リメイク版)
第8話
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「どうかされたのですか?」

隣に座るシャッハの声で思索の海に落ちていたゲオルグはふっと我に返った。

「いえ、なんでもありませんよ」

「そうですか? ならよいのですが、お疲れのように見えましたので・・・」

「お気にかけていただいてありがとうございます」

ゲオルグは微笑みを浮かべてシャッハに答える。
そして時計に目をやると食卓に手をついて立ち上がった。

「そろそろ準備をしなくていけませんので、失礼しますね」

「え? ええ・・・」

作戦開始まではまだ余裕があることから、シャッハは訝しく思いつつも
ゲオルグに向かってうなずいた。

ゲオルグは食器を片付けると、足早に自分の部屋に向かって歩いていく。
部屋に入るとすぐに、扉をノックする音がした。
ゲオルグが扉を開けると、彼の部下の一人が立っていた。

「入れ」

ゲオルグはその部下を招き入れると、小さなデスクの前に置かれた椅子に
腰を下ろした。
部下の男はゲオルグと向き合うように直立不動の姿勢をとる。

「どうだ?」

「車両は遺跡の入口近くの目立たない場所に置いてきました。
 3佐が着用されていた衣類は中に残してあります」

「よし、ご苦労だった」

「はい」

ゲオルグに対する報告を終えた班員は敬礼して部屋を出て行った。
部屋に一人残されたゲオルグは背もたれに身体を預けて目を閉じる。
しばらくして、目を開けたゲオルグは作戦図を開くと、己の記憶と照合しながら
作戦の経過をシミュレートしていく。

30分ほどぶつぶつと呟きながら頭の中での図上演習をしていたゲオルグは、
ちらりと時計に目をやって、椅子から立ち上がり部屋を出た。

階段を足早に駆け降りると、玄関ホールへと向かう。

ホールには出発に備えて隊員たちが集まり始めていた。

ゲオルグはその人込みの中を抜けて、シンクレアとシャッハが並んで立つ、
玄関ドアのそばに立った。

「改めてになりますが、今日はよろしくお願いします」

ゲオルグが話しかけると、シャッハは軽く笑みを浮かべてうなずいた。

「ええ。 私でお力になれることなら、遠慮なくおっしゃってください」

「ありがとうございます。 必要になれば頼りにさせていただきます」

ゲオルグはシャッハとの短い会話を終えると、腕時計に目を向ける。
時刻はちょうど作戦開始時刻であった。

ゲオルグは傍らに立つシンクレアに向かって無言でうなずくと、
シンクレアも軽くうなずいてからホールに集まっている隊員たちに向き直った。

「よーし、整列だ」

パンパンと2度手をたたいてシンクレアが隊員たちに向かって声をかけると
彼らは素早く列を作り、姿勢を正した。

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