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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第62話:三つ数えると
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かったよ」
「あ、そう………………くっ」

 奏はメデューサの答えに、顔を俯かせて肩を震わせた。響を始めそれを見た全員が、奏が悲しみに涙を流しているものと思った。

 だが次の瞬間、奏は顔を上げると大口を開けて笑い始めた。

「アッハハハハハハハハハハハッ!! イッヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ!!」
「か、奏さん!? どうしたんですか!? き、気をしっかり持ってください!?」

 突然大笑いし始めた奏に、響は自分よりも先に奏の心が折れてしまったのかと思い彼女を宥めようとする。だが奏はそれを手で制すると、目尻に涙を浮かべ笑いながら話し始めた。

「ば、馬っ鹿でぇお前らッ! すっかり騙されてやんの! アハハハハハッ!!」
「何だと?」
「これはな、颯人がお前らの目を欺く為のダミーだよ! 自分が吹き飛んで死んだと思わせる為のな! まんまと引っ掛かりやがって、あ〜おかしい!」

 その昔、奏と颯人がまだ子供だった頃、彼とかくれんぼや缶蹴りをやると彼は似たようなことをしょっちゅうやったのだ。態と音のなる物を身に付けて参加し、野良ネコなんかにそれを着けて鬼の注意を逸らしその隙にまんまと逃げおおせる。この戦法で奏は何度も負かされた。

 メデューサ達はそんな子供騙しの戦法にまんまと引っ掛かったのだ。これが笑わずにいられようか。

「おい颯人! お前どうせどっからか見てんだろ? いい加減そろそろ出て来いよ!」

 奏が何処へともなく声を掛けるが、答えは返ってこない。フィーネ達は勿論、響でさえもこればかりは奏の希望的観測でしかないと思った。

 だが奏は颯人と言う男をよく分かっている。奏はこれで颯人が出てこない理由に直ぐに気付き、彼に合図を送った。

「あぁ、そっかそっか。お前演出に拘るもんな。オーケーオーケー。それじゃ今回はアタシが一丁やってやるよ!」

 立ち上がった奏は、真っ直ぐ右手を上げると人差し指を立てた。その顔は希望に満ちており、この状況において非常に浮いている。

1(ワン)!……2(ツー)!……3(スリー)!」

 1秒カウントする毎に人差し指に続いて中指、薬指が立つ。
 フィーネ達はその様子を、何を馬鹿な事をと侮蔑の目で見ていた。

 しかし奏が3秒カウントし最後にフィンガースナップで指をパチンと鳴らした瞬間、残骸となったカ・ディンギルの真下で大きな爆竹が破裂したような爆発が起き、同時に紙吹雪が舞った。

 奏以外の全員が驚愕してそちらに目を向けると、煙と紙吹雪の中から人影が出てくる。カジュアルなスーツ姿にチロリアンハットを被り、希望と自信に溢れた笑みと共に現れたその男の姿に、フィーネ達は目を見開く。
 対照的に奏と響は現れた男に、嬉しそうな笑みを浮かべた。特に響は先程までの半分絶望
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