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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第62話:三つ数えると
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締めジャッキを引き背を向けているヒュドラに殴り掛かった。ヒュドラは響の事を見る事も無くそのまま透の背中を切り裂き続けている。

 その無防備な背に響の拳が叩き込まれ──────

〈コネクト、ナーウ〉

 直前、響の前に魔法陣が現れそこに拳が吸い込まれた。

「ガハァッ?!」
「えっ!?」

 拳が呑み込まれた魔法陣の先と、背後から聞こえてくる聞きなれた声の悲鳴。響が慌てた振り返ると、そこでは見慣れた拳が奏の腹に叩き込まれているのが見えた。

 響はそれが自分の拳であると気付くのにそう時間は掛からなかった。

「そんな……嘘ッ!?」
「ご苦労さん」
〈イエス! ファイヤー! アンダスタンドゥ?〉
「あ────」

 自分が奏に攻撃してしまった事実に呆然とする響に、何時の間にか振り向いていたヒュドラの魔法が襲い掛かる。強烈な炎が響を吹き飛ばし、奏の傍に叩き付けられた。

「あぐっ?! う、うぅ……」
「響……メデューサ、テメェ!?」

 先程響の拳が奏に突き刺さったのは、メデューサの魔法によるものだ。本来は遠くにある物体を取り出す為に空間を繋ぎ合わせるコネクトの魔法を、響の攻撃を奏に喰らわせる為に使用したのだ。奏もまさかこんな使い方をしてくるとは思っていなかったので完全に油断していた。

 蹲る奏と倒れる響。2人ともまだ意識はあったが、響は心が折れかけたのか意気消沈した様子で奏を見ていた。

「奏さん、ごめんなさい。私……私……」
「気にすんな響。まだ大丈夫だ!」
「でも!? 颯人さんも来なくて、翼さんも、クリスちゃんも、透君もやられちゃって…………私達、どうすれば────!?」

 嘆く響に、奏は内心自分も同じ気持ちを抱いている事を自覚し苦虫を噛み潰したような顔になる。そして、弱った心を奮い立たせようとしてかとりあえず指に嵌めておいた颯人のフレイム・ウィザードリングを見た。

──颯人、何やってんだよ。こんな物だけ残しやがって。生きてるなら早く…………?──

 不意に奏は違和感を感じた。メデューサが言うには颯人は指輪だけを残して木端微塵になったと言う話だが、それにしては指輪だけがやけに綺麗だと思ったのだ。
 もし本当に彼が指輪だけを残して木端微塵になったのなら、指輪はもう少し汚れているのではないか?

 その疑問を抱いた瞬間、奏は颯人との子供時代を思い出した。

「…………なぁ、メデューサ? 一つ聞きたいんだが……」
「ん?」
「颯人は指輪だけ残して木端微塵になったって話だが…………他には何もなかったのか?」

 メデューサは奏の問い掛けの意図が分からず首を傾げたが、事実を認めたくないだけだろうと思い見たままの様子を告げた。

「あぁ、それ以外は何も残ってはいな
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