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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第62話:三つ数えると
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んだ。それが誰なのか? そんなのは考えるまでも無い。

「透か!?」
「透君!」

 透は生きていたのだ。あの状況で、カ・ディンギルの砲撃を喰らった上に上空から落ちて尚まだ生きていて、クリスの危機にその身を再び盾としたのだ。

 だがその身は見るも無残にボロボロであり、体力も限界なのかヒュドラの一撃に透はクリスに覆い被さるように手と膝をついた。

 まるでクリスだけは見逃してくれと懇願する様な姿を見せる透。その彼に、ヒュドラは仮面の奥で醜悪な笑みを向けた。

「はっはっはっ! 泣かせるじゃねえか、もう限界の筈なのに女の為に自分の体を盾にするのか? じゃあ……しっかり守ってみせな!!」

 ヒュドラは抵抗できない透の背に何度も剣を振り下ろした。刃が叩き付けられる度に透の腕や足が震え、クリスの上に崩れ落ちそうになる。

「!? ?!? !!?」
「オラ! オラ! ハハハ! 何時まで持ちこたえられる!!」

 透の背中がヒュドラの剣により切り裂かれ、終いには傷口から血が滲み始める。悲鳴こそ上がらないが、それでも背中を斬り付けられる度に透の口からは苦しそうに息が漏れた。

 見るも無残な残虐な行為に、響が堪らず悲痛な声を上げる。

「止めて!?」
「この、クソ野郎!?」
「おっと、向こうに行きたければ私を倒していくのだな」
「チィ!?」

 直ぐにも透を助けに行きたいが、メデューサがそれを邪魔する。奏は苛立ちを感じつつもこの状況を打開する手段を考え、アームドギアを振るいながらどさくさに紛れて足元のライドスクレイパーを広い上げ二槍による連撃をメデューサに仕掛けた。

 アームドギアを攻撃のメインに据え、ライドスクレイパーを防御に用いる。即興の二槍流だが、なかなかどうしてメデューサを押していた。

「くっ!?」
「今だ!」

 堪らずメデューサが距離を取ると、奏はライドスクレイパーを投擲。それはメデューサの脇を通り過ぎていき、響の近くに向けて飛んで行った。
 響の相手をしていたフィーネはそれを見て、ライドスクレイパーの射線から体をズラす。

「響、それ使え!」
「えっ!? でも私武器なんて────」
「掴んで思いっきり振り回せ!!」
「は、はいっ!?」

 言われるがままに響は飛んできたライドスクレイパーを掴むと、その場で自分の体を軸にライドスクレイパーを思いっきり振り回した。

 渾身のフルスイングは、僅かに距離を取ったフィーネの体を捉え────

「ぐぅっ!?」
「何ッ!?」

 殴り飛ばされたフィーネはそのままメデューサに激突。響と奏が同時に自由に動けるようになった。

「今だ響、ヒュドラを!!」
「はい!」

 響は一目散にヒュドラに向かっていき、拳を握り
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