溶原性細胞
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ゾンになった人、元に戻せないんだよね」
「別に、悪い奴なんだから、いいじゃん」
千翼はむすっと言った。だが、友奈は首を振る。
「違うよ。誰だって、他の誰かの大切な人なんだから。きっと、このアマゾンになってしまった人だって」
「……ふん」
「だから、私はこの悲劇を繰り返させないために、誰かの大切な人を倒す!」
友奈はそう言いながら、ポケットからスマートフォンを取り出す。そのままアプリを起動させると、彼女の周囲に桜の花びらが舞った。
「だから私は、こんな、アマゾンなんて、絶対に止めて見せる!」
彼女の体が、桃色に隠れて見えなくなる。霧散と同時に、勇者となった友奈が、ハチアマゾンへ挑みかかった。
だが、ハチアマゾンは上空へ飛び上がる。ブーンという音とともに、それは一瞬で友奈の攻撃圏外へ出た。
「そんな……っ!」
さらに、ハチアマゾンのヒットアンドアウェイ。友奈は一方的に攻撃を受ける他なくなってしまった。
やがて、彼女はハチアマゾンを受けきれなくなり、地面に転がった。
「あ」
他人事のような声を上げながら、千翼は友奈がハチアマゾンの餌食になる瞬間を眺めていた。
そして、勝敗が決まる、まさにその時。
『ハリケーン プリーズ フー フー フーフー フーフー』
緑の風が集い、魔法陣となる。それを突き抜け、現れたのは緑のウィザード。
ソードガンを逆手持ちに、ハチアマゾンの脳天に叩き込んだ。
「___________!」
突然の乱入に、ハチアマゾンは抵抗も許されずに地面へ投げられる。
「大丈夫?」
「ハルトさん!」
形成が逆転し始めた。復帰した友奈も猛攻に加わり、ハチアマゾンを追い詰めていく。
しかし、アマゾンの機転に、千翼は感心した。
地面に転がる、死体。それを盾にすると、ウィザードも友奈も攻撃の手を止める他がなかった。
そして、それは一転攻勢の合図。両腕から生えた毒針を防ぐのに、二人は手一杯になった。
「千翼!」
クトリに助け起こされるまで、千翼は自らが置かれていた状況が分かっていなかった。
「姉ちゃん……」
「千翼……」
彼女の目が、千翼へ語っていた。
むすっとした千翼だが、ため息とともに立ち上がった。ちょうどその時、すぐ目の前にウィザードが着地した。
「千翼くん? 速く離れて!」
「……」
むっとした千翼は、クトリの手を離し、ウィザードの前に立つ。
「千翼くん!?」
驚くのはウィザードだけではない。ハチアマゾンから千翼の真横まで退避してきた友奈も驚いている。
「どうして逃げないの!? 危ないよ!」
「うるさい……」
千翼は、どんどん声が大
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ