溶原性細胞
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アマゾン!?」
「コイツ、怖くて頭おかしくなっちまいましたぜアニキ! だったら、このガキ食っちまいましょうよ!」
「違いねえ! こいつは傑作だ……」
その時。千翼は見た。
リーゼントの首元に浮かぶ、黒い血管を。
その瞳が、人間のものからどんどんどす黒く変色していくのを。
「熱っ! あ、アニキ……?」
蒸気という変化に気付いたときにはもう遅い。リーゼントのアニキは、笑いながらその体を、徐々に変質させていた。
「なあ、コイツ……も……う……食っちゃおうぜ……
「アニキ? ……アニキ! アニキ?」
煙から現れたアニキは、もはやアニキではない。弟分を壁に押し付け、そのまま首元に食らいつく、人型の生命体。
「アニキイイイイイイイイイイ_________」
思わず千翼は、目を背ける。弟分の悲鳴を塗りつぶす、グチャグチャという人体破壊音。
ドサリという音に目を開けてみれば、リーゼントの学ランを着た怪物。黄色いボディと、肩からの翅が目立つ、まさにスズメバチを連想させる怪物。
ハチのアマゾンだというのなら、ハチアマゾンと呼称するべきか。
ハチアマゾンは、肩と首を捕食し、命を奪った弟分から離れる。
「_______!」
ブーンという羽音とともに、ハチアマゾンは千翼に襲い掛かる。
全身を奮起させ、立ち上がった千翼は、ハチアマゾンの攻撃を避け、逃げ出す。狭い路地に転がるゴミ箱、箱、物。全てを投げつけるも、ハチアマゾンの動きは止まらない。
やがて、表通りへ出た。それはつまり、自身を狙うハチアマゾンもまた外に出てしまうということである。
「ば、化け物だ!」
「助けて! アマゾンよ!」
初めて見るのであろう、アマゾンの姿に、衆人はパニックになる。我先にと逃げ出すが、それは飛び上がったアマゾンにとってはビュッフェと変わらない。
手始めに、転んだ青年を捕食。続いて、その恋人らしき女性を捕食。黄色の捕食者により、犠牲者は一人、また一人と増えていく。
「や、やめろ!」
千翼が、震える声で怒鳴る。ふらふらと立ち上がり、捕食を終えたハチアマゾンを睨んだ。
ハチアマゾンは、次の狙いを改めて千翼に定めた。ブーンと翅を鳴らし、千翼へ迫る。
「危ない!」
その時。
飛び出した誰かが、千翼の体をアマゾンの狙いから反らした。空を掻いたアマゾンは、こちらを見返す。
「はっ!」
流れるようにアマゾンを蹴り飛ばす、その人物。千翼よりも華奢な体と赤毛を持つ彼女に、千翼は目を合わせられないでいた。
「千翼君、大丈夫?」
「別に……どうでもいいでしょ?」
むすっと答える千翼。あははと笑いながら、友奈はハチアマゾンと相対する。
「……アマ
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