溶原性細胞
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ソガキ、百回殺せるんだよ?」
「よっ! アニキカッコイイ!」
気分がよくなった。そんな顔をしたリーゼントは、そのまま千翼を叩きつける。
「がはっ!」
背中を強打し、千翼は動きを止める。
「おらっ! 立てよ! 金を出せば許してやっからよ!」
「な……ないです……」
弱弱しい声で、千翼は言った。それに対し、リーゼントは「ああ?」とにらみ、
「だったら! ぶつかってきた迷惑料の分、殴らせてもらおうか?」
「っ……!」
千翼は恐怖を感じ、リーゼントに背を向ける。だが、いつの間に回り込んだのか、弟分が千翼の逃げ道を塞いでいた。
「まあまあ待てって」
「放せ!」
千翼を捕まえた弟分は、にやにやと千翼の両肩を掴む。
「アニキがあんさんと、お話したいってさ!」
小柄な体系からは想像もつかない腕力で、弟分は千翼を投げ飛ばした。キャッチボールそのままに、千翼の身柄は再びリーゼントの元へ。
「ホームラン!」
そのまま、流れてくる千翼を殴り飛ばそうとするリーゼント。その拳は、千翼の顔面にジャストヒットする。
「ぐあっ!」
短い悲鳴とともに、千翼が地面に倒れる。台となった木箱も粉々になり、一部が刺さったような痛みを残す。」
さらに千翼の口の中に、異常な痛みが走る。
「歯が……折れた……」
感じたことのない箇所の痛み。折れた歯の欠片が、千翼の手に零れた。
「痛ってえなあ!」
それは、殴ってきたリーゼントからの声。手をふる彼の手もまた、出血していた。千翼の折れた歯が刺さったのだろうと理解できた。
「このやろう……どうしてくれんだ? ああ?」
「アニキ!」
弟分がリーゼントに駆け寄る。
「アニキ、大丈夫ですかい?」
「ああ……何てことねえ。唾つけときゃ治る」
今のうちに逃げよう。
そう、動く千翼だが、痛みのあまり、動けない。
「お、おい! アイツを逃がすな!」
「はい!」
そんな会話が聞こえてきた。だが千翼は構わず、匍匐前進で遠ざかろうとする。
その時。
「……え?」
千翼は動きを止め、振り返る。
相変わらず二人の不良。彼らは、千翼が止まったことに、喜びの表情を浮かべていた。
「観念しろ」
「やっちゃえアニキ!」
腕をゴキゴキと鳴らすリーゼント。だが、もう彼らの会話は、千翼には聞こえていなかった。
千翼はリーゼントを指さし、言った。
「ア……アマゾン!」
「ああ?」
その言葉に、二人の不良は固まった。
そして、二人は同時に、腹を抱えて笑い出す。
「な、何を言うかと思えば! アマゾン? オレたちが、今話題の怪物の
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