千翼
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方ないか……」
ハルトはポケットから指輪を取り出す。
今までは三体を常に放っていたが、最近は必要な事態も多いので、一体は手元に置いておくことにしたのだ。
『ユニコーン プリーズ』
それにより召喚された、青いランナー。瞬時に青い白馬となったそれに指輪を埋め込み、手のひらに乗せた。
「悪い。ユニコーン。千翼君……今まででいうと、チー君を探してくれ」
ユニコーンは『ヒヒーン』と応え、降りて行った。
「うわぁ……これもマジック……」
その背後では、クトリが目をキラキラ輝かせてユニコーンを見送っていた。
「うわっ!」
あてもなく、ひたすらに走っていた。チー君こと千翼は、見滝原の見たことのない場所___狭い路地裏___に迷い込み、たった今、ガラの悪い男にぶつかってしまった。
「おうおうおう! どこに目付けて歩いてんだ兄ちゃんよお!」
そう因縁をつけてくる、変な髪形の男性。所謂リーゼントと呼ばれる髪形。彼はその無駄に大きな髪を千翼に押し付けてきた。
だが、千翼は、反省どころかむしろリーゼントを弾き、反抗する。
「そっちがぶつかってきたんでしょ? 謝るならそっちが先だよ!」
「ああん? このクソガキ」
「やっちまいましょうよ、アニキ!」
その声は、リーゼントの後ろからだった。背も低い、丸刈りの男。弟分というものだろう。
その時。
「まあまあ」
その中に割って入る、明るい声があった。千翼の前に入り込む赤髪。その人物を、千翼は知っていた。
「友奈さん……」
しかし、友奈は千翼には目もくれず、二人の不良を宥める。
「落ち着いて落ち着いて。ほら、そういう暴力はよくないから、止めましょう! 全部忘れて笑いあいましょう!」
「はあ? なんだこのガキ」
リーゼントが友奈にぐいっと顔を近づける。
「いきなり割り込んできやがって、何言ってやがる?」
とても怖い顔で、友奈を凄んでいる。しかし友奈は、顔色一つ変えない。
「ほら、君も謝って。それで、そっちも謝って。それでおしまいでいいじゃん? 何も無理にケンカする必要もないでしょ?」
「うるせえ! こちとらこれで終わりゃカタギの奴らに舐められちまうんだよ!」
リーゼントは荒々しく壁を叩く。
「いいから一発殴らせろ!」
「! いけない!」
暴力の体勢となったリーゼントを見て、友奈は千翼の腕を掴んだ。
「こっち!」
「待ちやがれ!」
だが、リーゼントのその声を振り切るように、千翼と友奈は、逃げて行った。
「はあ、はあ、……ここまで走るとは思わなかったよ」
千翼は肩で呼吸しながら、友奈へ口を尖らせた。あまり疲労感
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