第百八十三話 自害その十三
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「倒していくな」
「そうしていきますね」
「それも優先して」
「そうしていきますね」
「民の危険を放置したらな」
それこそというのだ。
「そんな国誰もついてこないだろ」
「その通りです」
「あの領主も国は守りました」
「トランシルバニアのあの者も」
「確かに弱者や邪魔者は殺しましたが」
「それでも」
「だから支持もされたんだよ、本当に民を守ろうとしないとかな」
そうした国つまり政権はというのだ。
「存在価値すらないさ」
「そして滅ぶ」
「民も支持しなくなり」
「そうなりますね」
「それどころか害を与えてくるならな」
守るどころかというのだ。
「余計にな」
「支持されないですね」
「そうなれば」
「尚更ですね」
「それどこか民が立ち上がって」
そしてというのだ。
「倒そうとしてくるさ」
「叛乱ですね」
「それが起きますね」
「民に害を為せば」
「そうなったら馬鹿もここに極まれりだよ」
それこそというのだ。
「そんな話もあるけれどな」
「そうなってはいけませんね」
「帝国は」
「だからですね」
「陛下は民を護られますね」
「ドナウ川でもな」
今見ているその川でもというのだ。
「そうするな、じゃあな」
「はい、これからですね」
「ブダペストに向かいますね」
「ドナウ川沿いに」
「そしてまずはそこまで行くな」
そのブダペストまでというのだ、こう言ってだった。
久志は軍を進ませていった、ドナウ川は船が行き来していた、そして商いや漁業に励みそこから富を得ていた。
第百八十三話 完
2020・10・23
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