第九十二話 劉備、于吉を欺くのことその七
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彼等は背中合わせになったまま戦う。それが今の二人だった。
戦局は別働隊の切り込みで連合軍に傾いた。そしてだ。
それに加えてだ。新たな軍が戦場に姿を現したのだった。
「黒梅、間に合ったわね」
「間に合うようにしたのよ」
?義だった。彼女はこう審配に告げたのである。
「ちゃんとね」
「成程、そうなのね」
「そうよ。それじゃあね」
「ええ、それじゃあ」
「全軍に告ぐ!」
今度は己の率いる軍に告げる?義だった。
「このまま突撃するわよ!」
「はい!」
「それでは!」
兵達も頷きだった。こうしてだ。
二人が共に率い突き進みだ。戦場に切り込むのだった。
それを受けてだ。戦局は決定的になった。
横と後ろからも攻めはじめた連合軍は白装束の者達を圧倒しだした。それを見てだ。
袁紹も剣を手にだ。こう叫ぶのだった。
「よし、今こそですわ!」
「全軍総攻撃ね」
「ここで一気に流れを掴みますわ!」
曹操にもこう言うのである。
「いいですわね!」
「ええ、それが妥当よ」
曹操もだ。それでいいとした。そしてだ。
彼女も鎌を手にしてだ。袁紹に話す。
「ずっと我慢してもらっていたけれどね」
「それでも。今度こそは」
「ええ、前線に出ましょう」
曹操も微笑み袁紹に話す。
「そうしましょう」
「わかりましたわ。それでは」
「じゃあ麗羽」
曹操はあらためて袁紹の真名を呼んだ。そうしてだった。
「全軍に命じて」
「ええ、では」
一旦咳払いをしてからだ。袁紹は言った。
「全軍総攻撃でしてよ!」
「今こそ国を救う時よ!」
曹操も共に叫ぶ。
「今ここで!」
「勝利を手に!」
こうしてだ。袁紹は待ちに待った前線への突撃を行うのだった。これによってだ。
戦局は決まった。白装束の者達は次々に薙ぎ倒されていく。しかしであった。
于吉はだ。その中でもだ。冷静なままでいた。
そしてその冷静な顔でだ。己が持っている書を手にして微笑み言うのだった。
「さて、もう充分に蓄積されましたね」
書から起こる邪な気配を察しながらの言葉だった。
「では。いよいよ」
「させません!」
その彼にだ。少女の声が浴びせられた。
「そんなことは!」
「おや、やはり来られましたか」
「貴女のその邪な願いは」
「もうわかってるわ!」
少女は二人だった。そこにいたのは。
孔明とだ。そして。
「貴女ですか」
「何があっても!」
緑の仮面を着けた劉備だった。彼女がいたのだ。
巨大な剣を重そうに持っている。その劉備がだ。于吉に対して言う。
「ここでやっつけるんだから!」
「面白い。それではです」
どうかとだ。于吉はその劉備を見ながら言うのだった。
「貴女を退け。世界をで
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