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SHUFFLE! ~The bonds of eternity~
第一章 〜再会と出会い〜
その二
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ったのは、彼の家族全員に余裕が無かったためである。今はもう落ち着いているが。

「そっか、大変だったんだね」

『でも、そっちも大変だったんだろう? 今はどうなってるんだ?』

 桜も近況を話す。中学の時に楓の誤解が解け、稟と仲直りしたこと。自分は夢を追うため、二人とは違う進路を選んだことなどだ。そこで桜はあることに気づく。

「ねえ柳ちゃん。思い出話と近況報告をするためにあんな手紙を出したの?」

『ああ、実はな……』

 それから彼の口から聞かされたことは桜にとっても、また稟や楓にとっても喜ばしいことだった。電話を切り、少し余韻にひたる。

「柳ちゃん、帰ってくるんだ」

 そう、彼が八年ぶりにこの町に帰ってくるのだ。稟も楓もこれを聞けば驚き、そして喜ぶだろう。しかし、そう言った桜に彼は待ったをかけた。どうせなら驚かしてやろう、というのである。そういえば彼は昔からそういうサプライズが好きだった。と同時に自分にもいたずら心が湧いてくる。あのことは黙っていよう。つい二ヶ月と少し前、稟達に訪れた騒動のことは。


          *     *     *     *     *     *


 そして今日、彼がこの町に帰ってくる。一度家に帰り、荷物を置いて再度家を出る。その際、おめかしすることも忘れない。彼は昼過ぎに駅に到着するという。今からなら充分に余裕がある。ちなみに母親と妹の到着は明日だと言う。仕事先でトラブルが発生したためらしい。

「じゃあお母さん、柳ちゃん迎えに行ってくるね」

「行ってらっしゃい。よければうちにも顔を出すように頼んでおいてね」

「はーい。行ってきます」

 そうして桜は家を出た。足取りはとても軽い。八年ぶりの再会はもう間近だった。
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