チー君の名前
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
『謎の怪物 アマゾンと命名』
そんな見出しが、夕刊の一面を飾っている。
配達員から受け取った新聞を見下ろしたハルトは、ラビットハウスの制服から着替えて降りてきた可奈美に手招きした。
「何?」
いつも可奈美の私服として使われている、赤いセーラー服。彼女の母校である美濃関学院なる学校の制服らしい。
「これ……」
「何々?」
可奈美と入れ替わりで制服を着ているココアが、可奈美の背後より彼女に抱き着く。
「うわっ! ココアちゃん!?」
「えへへ……可奈美ちゃんもふもふ……何見てるの?」
ココアの問いに、ハルトはアマゾンの記事を指さした。
ココアはそれを見て、引き攣った顔をした。
「ああ……これ、怖いよね……」
ココアの言葉に、ハルトは頷く。
「アマゾン……ここ最近、病院を中心に現れるようになった謎の怪物」
「人喰いだって噂だけど……人に化けているんでしょ?」
ココアの言葉に、ハルトは首を縦に振った。ハルトが見たところ、あれはファントムと同様、人間が後天的に変異するように思えたが、彼女の不安を煽らないようにした。
「やっぱりココアちゃんの周りでもこれの話してるの?」
その問いに、ココアは頷いた。
「うん……シャロちゃん……あ、私の友達なんだけどね。こんなのが出たらもう外を歩けないって、本当に怯え切ってるよ」
「まあ、それが普通だよね」
ハルトは頷いた。
「それに知ってる? このニュース、見滝原中央病院が作ったバイオハザードだって噂」
「バイオハザード?」
聞き慣れない言葉に、ハルトは首を傾げる。
可奈美もそれを知らないようで、「何それ?」と聞き返している。
ココアは「私もよく知らないよ。あくまで噂だけど」と前置きを置いた。
「なんでも、このアマゾンって、病院が人間に感染するように作ったウイルスじゃないかって話だよ。でも、嘘だって思いたいな」
「そりゃそうだよな。危ないからね」
「違うよ、ハルトさん」
可奈美が首を振った。
「ほら。この病院、この前までチノちゃんが入院してたから……」
「ああ、そっか」
チノまでアマゾンになる。そんな想像を振り切り、ハルトは時計を見上げた。
「……チノちゃん、まだ学校か……」
四時を指す時計。よく友達といるチノだが、この話をした後だと、妙に心配になってきた。
その時。
チャリン、とベルがなった。
「いらっしゃいまし〜!」
「いらっしゃ……」
「いらっ……」
素っ頓狂なココアの挨拶の裏で、ハルトと可奈美は声を失った。
「うわあ……! ここがラビットハウス!」
入ってきたのは、元気な明るい声の
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ