第四百四十六話 妖怪達との出会いその十
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「僕は」
「まああの戦争知ってるしな、俺達は」
「あの戦争?」
シブヤはねずみ男のその言葉に問うた。
「それって第二次世界大戦かな」
「そうさ、その戦争だよ」
ねずみ男もそうだと答える。
「あの戦争もな」
「知ってるんだ」
「ああ、あの戦争をな」
「じゃあその頃から生きてるんだ」
「そうさ、しかしな」
「しかし?」
「あんな戦争は二度と御免だぜ」
ねずみ男は嫌そうな顔と手振りでシブヤに答えた。
「本当にな」
「そうだよね、やっぱり」
「ああ、沢山の人間が死んだしな」
「そうだよね」
「俺達の戦いは違うみたいだけれどな」
「うん、あの戦争とはまた違うね」
ナリタはねずみ男の今の言葉に頷いた。
「本当に」
「そうだよな、俺達の戦いは」
「神様との戦いだからね」
「あのもうただひたすら殺し合うだけの戦争じゃねえからな」
ねずみ男は考える顔で述べた。
「まだいいな」
「そうだよね」
「正直に言うと戦いがないに越したことはないわ」
子泣き爺は本音を述べた。
「本当にな」
「全くじゃ、わし等は平和で楽しく暮らせれば一番じゃ」
砂かけ婆も言うことだった。
「それでな」
「そうじゃのう」
「それをいきなり喧嘩を売って来るとかな」
「スサノオも難儀な連中じゃ」
「しかしここで逃げることも出来るんだよね」
ここで言ったのは呼子だった。
「そのことも」
「ええ、出来るわ」
アカリが答えた。
「嫌ならね」
「そうだよね、けれどね」
「逃げることもでしょ」
「また癪だね」
「そうでしょ」
「どうもね」
「それならよ」
アカリは呼子にまた答えた。
「もうね」
「戦うことだね」
「そして勝つことよ」
「そうなるね」
「スサノオは逃げたら追って来ないわ」
アカリはこのことも話した。
「だから逃げるのは自由よ」
「そういうことだね」
「けれどそれが嫌なら」
それならというのだ。
「もうね」
「戦うことか」
「どちらかよ」
「こうした時ねずみ小僧は真っ先に逃げるけれど」
豆腐小僧はそのねずみ小僧を見て言った。
「今はまだいるね」
「俺も癪なんだよ」
ねずみ男は自分に言ってきた豆腐小僧に眉を顰めさせて返した。
「どうもな」
「逃げることが」
「今回はな」
「それでいるんだね」
「あとお前さんあっちが有利だとすぐに寝返るが」
油すましもねずみ男に言ってきた。
「今回その素振りがないな」
「当たり前だろ、自分が楽しみたいから戦いを仕掛けてくる奴とかな」
それこそとだ、ねずみ男は油すましにも答えた。
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