第三幕その十
[8]前話 [2]次話
「そうしています」
「そうなのね」
「日々武芸と学問に励まれお優しく義理堅く決して怒られず」
「ううん、立派な人なのはわかったわ」
「あまりにも立派な方なので」
それでというのです。
「私もです」
「お仕えして嬉しいっていうのね」
「まことに」
「そうなのね」
「若しです」
忍犬はさらに言いました。
「殿にお会いするなら」
「それならなのね」
「よくお話して下さい」
是非にというのでした。
「皆様も」
「姥らしい人だから」
「左様です、武士であられますが忍の型でもあられ」
そしてというのです。
「武芸全般を身に着けられて」
「学問もなのね」
「備えておられます」
「そしてお人柄もなの」
「見事な方なのです」
「欠点がないわね」
「そこまで言っていいかと」
忍犬もその通りだと答えます。
「外の世界では最後の最後に華々しい活躍をされたと聞いていますし」
「ええ、本当に素晴らしかったわ」
恵梨香も言ってきました。
「大坂の陣ではね」
「もう誰にも出来ない様なことをして」
「歴史に残っているわ」
「左様ですね」
「確かに負けたけれど」
それでもというのです。
「立派だったわ」
「そして今はです」
「こちらの世界にいるのね」
「十勇士の方々と共に」
「成程ね、ではね」
「これからですね」
「幸村さんとお会い出来たら」
その時はというのです。
「お話させてもらうわ」
「それでは」
「その時にね」
「またいらして下さい」
「ええ、こちらこそね」
恵梨香が応えてでした、そうしてです。
皆は忍犬と別れてでした、あらためて牧場への道に入りました。木挽きの馬は道に戻ると恵梨香に言いました。
「今回は恵梨香のお陰だよ」
「忍者屋敷の迷路を出られたこと?」
「隠し扉とか全部見付けてくれたからね」
だからだというのです。
「もうね」
「私のお陰だっていうのね」
「そうだよ」
その通りだというのです。
「そう言うしかないよ」
「そうなのね」
「全部ね、というかね」
「というか?」
「恵梨香って本当に忍者じゃないの?」
「違うわよ」
恵梨香は木挽きの馬の問いをすぐに否定しました。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ