第参話「消防官新人大会」
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い前は閉めた方がいいぞ。その黒ビキニ、男には中々刺激が強──」
「分かったよ!分かったからこっち見んな!」
俺が古達ちゃんに引っぱたかれた所で、競技開始5分前の合図が鳴った。
「そろそろ集合か」
「あっ、悪い。先行っててくれ」
「森羅?何処へ行くんだ?」
集合場所ではなく、反対側へと向かっていく森羅。
その先に居るのは……。
「バーンズ大隊長?」
俺達第1の大隊長、レオナルド・バーンズ大隊長。
年齢50歳でありながら、老いを感じさせない筋肉隆々な体格。眼帯で隠した右目、後頭部で結った白髪は、体格と相まってベテランの風格を放つ。
ちょっと迫力あるけど優しそうな表情には、何処か父親のような温かみを感じずに居られない。
エリート部隊を率いるに相応しい、威風堂々とした人だ。
「あの新人、第1の大隊長に用があるみてぇなんだ。興梠、心当たりあるか?」
「どうだろ?聞いてみなきゃ分からないな……」
バーンズ大隊長と森羅が何を話していたのか、俺達には分からない。
だが、少なくともバーンズ大隊長に軽くあしらわれた事は、遠巻きに見ていてもわかった。
森羅……何を話したんだ?
それと古達ちゃん、大隊長に絡みに行ったからって森羅を蹴るんじゃありません。飼い主をとられた猫じゃないんだから。
?
「これから、火事場に見立てたあの建物に一斉に突入してもらう。障害を突破し、要救助者を助けてから、最も早く焔ビト役の隊員の元に辿り着け!」
試験官の説明を聞きながら、建物を見上げる。
外から見た所、内部には複数の階層が存在し、3つのエリアに分けられているようだ。
ご丁寧に『壱』、『弐』、『参』と書かれたパネルが付いている。
灰島が建築に携わってるらしいから、おそらく障害として用意されたトラップも、実際の火災現場を想定した本格的なものが用意されているのだろう。
「なるほど、攻城戦か!」
「攻め込むわけじゃねェだろ」
森羅が隣の騎士バカ玉葱頭にツッコミを入れている。
本当に訓練校にいた頃と変わってないな……。
「火怖い……火怖い……火怖い……消す!絶対消す!」
隣のやたら着膨れしてる背の高い隊員は……第2の所属か。
軍中心の部隊らしからぬビビりっぷりだけど、大丈夫だろうか?
「最も早く焔ビトを捜し出し、鎮魂せよ!用意はいいか?」
っと、そうこうしてる間に競技開始だ。
隊員達がそれぞれ、スタートダッシュに備える。
「スタートォォ!!」
試験官が指を鳴らすと同時に、その指先から炎が上がった。
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