第参話「消防官新人大会」
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青空の下。公園の芝生に、二人の少年が立っていた。
「オレ、やっぱりヒーローになる!ヒーローになって、困ってる人達みんな助ける!!」
ギザ歯の少年が、赤いマントをはためかせる。
青いTシャツと相まって、その姿はまるで小さなスーパーヒーローだ。
「だったらオレは、シンラのお助けヒーローになるよ!シンラがみんなのヒーローなら、俺はシンラが困ってる時に助けるんだ!」
もう1人、所々ハネたくせっ毛の少年が、ギザ歯の少年に微笑みかける。
「オレのお助けヒーロー?」
「うん!やくそく!ヒーローは助け合い、でしょ?」
ギザ歯の少年の顔に、満面の笑みが広がった。
「じゃあさ、ハクジが困った時は、オレが誰よりも早く助けに行くよ!」
「ほんと!?」
「ああ、やくそくだ!」
その日交わした約束が、2人の絆になった。
少年達はその後、降りかかる困難にもめげずに、立ち向かっていったらしい。
そして、その少年達は今──
?
「遂に明日だな、新人大会」
「絶対活躍するぞーっ!そして見事に、優勝してみせるっ!」
明日は待ちに待った新人大会。俺も古達ちゃんも、今から張り切っている。
「興梠、絶対負けないからな!」
「おう!俺だって優勝は譲らないから、覚悟しろよ!」
新人大会。それは年に1度、この時期に行われる消防庁の一大イベントだ。
入隊したばかりの隊員達の実力を、自他共に把握させる事が目的としたもので、つまるところ新米にとっては腕試しの場である。
新人達は自分の隊のメンツを背負い、優勝を目指す。まあ、隊のメンツを抜きにしても、順位があるなら一番を目指すのは当然だろう。
「おっ!張り切ってるなっ!」
「「烈火中隊長!」」
そこへやって来る烈火中隊長。
今日もいつも通り、にこやかな笑顔を浮かべて、そして熱血の炎を燃やしている。
「新人大会、燃えるよなっ!懐かしいぜ!」
「烈火中隊長は新人大会、どうだったんですか?」
「いやー、惜しくも優勝は逃しちまったんだよな〜。あの時は悔しかったぜ!でも、全力で挑んだ結果だから満足だぜっ☆」
烈火中隊長の言葉には、全く曇りがない。
この人は本当に、心の底からその結果に満足しているんだろう。
皆が憧れるのも頷ける。烈火中隊長の熱苦しさは、後悔を残さない生き方の表れでもあるのだ。
「明日の大会、俺は来られないんだが、お前らの事は応援してるぜっ☆」
「えー!烈火中隊長、見に来てくれないんですかー?」
残念そうな顔をする古達ちゃんに、烈火中隊長は優しく微笑みかける。
「すまない環、その日はどうしても外せない用事が入っちゃったんだ。くぅ〜……残念だぜ、年に一度の新人大会だってのによ〜っ!」
「烈火中隊
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