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『外伝:赤』崩壊した世界で大剣豪とイチャコラしながら旅をする
槌矛-ふたつめ-
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油断も何も無い。
あの時割と本気で斬ろうとした。
武蔵ちゃんがあんまりにも心配そうな目で見てくるから余計な心配はかけさせまいと虚勢を張っただけ。

「何か…こいつを倒せる方法は…!」

武蔵ちゃんはじゃあどうしているんだと思いちらりと目をやれば、彼女はなんの問題もなくゴーレムを叩き切っていた。
岩だろうが鉄だろうが鉱物だろうが、どの種類のゴーレム達も武蔵ちゃんの刀によってまるでバターのように切り裂かれていく。
あれは…彼女だからこそできる芸当なんだろう。
つまりはこの前刀を握ったばかりの俺には全く参考にならないってことだ。
達人でもなければ"空"に至ってもいない。
そんな俺に何が出来るんだと言えば

「倒れるまでやるしかないだろう…!!」

敵が倒れるまで我武者羅に刀を振り続けるだけだ。

「うあああああぁーっ!!!」

振りかぶり、ゴーレムの脳天に思い切り刀を振り下ろす。
しかし手応えは同じ、硬いものに当たった振動が刀を伝って腕に伝わり、じんわりと痺れる。

「まだまだァ!!!」

そこがダメなら首、肩。
まずは足元から崩してみるかと打ち付けまくるがまるで意味は無い。
ゴーレムに対し、この刀は分が悪過ぎるのだ。

「…!!」
「ぐぅ…っ!!」

俺の攻撃をうざったく感じたのだろう。
ゴーレムは腕を振り払って俺を吹き飛ばす。
このままでは拉致があかない。
我武者羅にやったとしても自分の体力を無駄に削るだけなのは理解出来た。
俺はこいつらを…どう"斬ればいい"…?

「きゃあっ!!」
「!?」

悲鳴が聞こえ、振り向くとそこには渚ちゃんが腰を抜かして倒れていた。
後ろには怯える子供達。
さらに彼女に襲いかからんとする一体のゴーレム。
おそらく子供達を連れて避難しようとしたところを、別方向からやってきたゴーレムに襲われたところだろう。
武蔵ちゃんはあっちの相手…なら

「やめろおおぉぉッ!!」

俺がやるしかない。

「ぐっ…うぅ…!!」

ゴーレムの拳をすんでのところで受け止める。
重い一撃だが

「どけぇッ!!」

返せない攻撃じゃない。

「あ…ありがとうございます。」
「お礼はいいよ。とにかく早く避難して!」

ゴーレムは倒せたわけじゃない。
押し返しただけだ。
横入りした俺を睨みながらゴーレムはゆっくりと迫る。

「…ッ!」

刀を握り直す。
奴らは鉱物。俺のようなド素人に斬れるわけがない。
ならばどうするか…。

「…。」

なら…
そうだ…斬れないのなら…わざわざ斬る必要なんてないんだ。
自分の紅い刀を見て思った。
そうだな、そうだよな。

「だったら…!」

バチバチと迸る電撃
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